S h o u t !‐叫べ‐
あたし達家族は
お母さんとあたしと優輝の
3人家族で、お父さんは
あたしが中2の時に34歳で他界。
小説やマンガの読みすぎか
今だに実感が沸かないけれど…
近所のおばちゃんが言うには
まだ若かった…らしい。
あたしと優輝は顔の似ていない双子の
0時を挟んで生まれた
誕生日が1日違いの姉弟。
優輝はお母さんに似て少し猫っ毛だ。
しばらく手を合わせていると
お母さんが動いた。
「優子~…わっ!?
2人共いたの!?」
「いたよ。」
びっくりした顔のお母さんに対して
無表情の優輝が答える。
「あっ!!8時来てる!!」
何気なく腕時計を見ると
時間が来ていた。
ちなみに、あたしの好きな桜色の
シンプルな腕時計だ。
入学祝いに、お母さんが
プレゼントしてくれた。
優輝のは、薄いブルー。
「じゃあ行きましょ!
早く車に乗って。」
「はーい。」
「ん。」
家を出て、お母さんの車の
後部座席のドアを開ける。
ガチャ。
お母さんの車の中は、薄く
ライオンハートの匂いがする。
お父さんが使ってた
香水だからかな…
おかげであたしの新品の制服は
ライオンハートの匂いになりそうだ。
優輝も、隣りで制服を
軽くパタパタと煽っていた。