結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「さて、次は……ルキの体力が持つかしら?」
すでにバテ気味のルキに、少し休憩しようかと広場のベンチを薦める。
中心エリアは商店が多く賑わっていて活気があるようだ。
ちょっと待っててねと走って行ったベルは、どこかでコーヒーとソフトクリームを買ってきた。
コーヒーを受け取って一口飲んだルキは盛大にため息をつく。
「ベル、周る順番間違ってない? 荷物すごく重いんだけど」
特に芋と言うルキに、
「だから私持つっていったのに」
とベルは言う。男の自分がいるのにベルに重い荷物を持たせるわけにはいかないだろうとそんな事をいうルキを見ながらベルはアクアマリンの瞳を瞬かせ、
「男のプライド面倒くさいなぁ」
とクスクス笑う。
「あーでもルキがいるからいっぱいもらっちゃったな」
ついてきてくれてありがとうと濃紺の瞳を見ながらそう言った。
今のベルはいつも以上に着飾ってないが、楽しげに笑う彼女はいつもよりずっと可愛く見えて、ルキの胸は高鳴る。
「休憩したら、あと1ヶ所行きたいところがあるんだけど、その前に」
バーンとベルはソフトクリームをルキの前に差し出す。
「外でこのまま食べるの苦手なの知ってるけど、美味しいから一口だけでも食べてみて」
残りは私が食べるからとスプーンで掬ってそのままルキに差し出す。
固まってしまったルキに、
「ほら、溶けちゃう。あーんして」
と当たり前のように口を開けろと言う。
以前にもベルに無理矢理食べさせられたなとルキは苦笑する。
昔公共の場で恋人同士が食べさせ合うのを冷めた気持ちで見た事があるが、まさか外でベルからこんなことをされるとは思っていなかった。
「どうしたの、ルキ。アイス嫌いじゃないでしょ?」
きょとんとそういうベルからは食べさせる事に対して意識している様子は全く感じられない。
意識しているのは自分だけ。それがなんだか悔しく思うのだが、早くと期待に満ちた眼差しで再度促されたルキは早くなった心音を聞きながらソフトクリームをたべた。
「どう? 美味しいでしょ」
ドヤ顔でそんな事を言うベルは、
「実は甘イモを使ってあるんだよ。うちの領地はあんまり豊かじゃなくて。でも、土壌環境が厳しいところでも芋類は育ちやすいからって事でお兄様が持ち込んで」
お兄様は土壌改善の研究もしてるの、と誇らしげに兄を語る。
そんなベルを見ていれば彼女に下心はなく、ただ単純に美味しいと思ったモノを食べさせたかっただけなんだと分かる。
「とりあえず芋は主食になるって事でなんとか食糧確保はできたんだけど、豊かになっていくに従ってやっぱり美味しいもの食べたいよねって色々試行錯誤してできたみたいで」
ルキに食べさせたかったんだと笑う。
「……美味しいよ」
良かったと嬉しそうにベルが向ける親しげな視線の中に、自分を意識した色はなくて、ルキはそれが少し寂しくて、悲しいと思う。
「でも、まだ改善する余地いっぱいあるし、領地改革のためにも付加価値つけて稼ぐんだー」
甘イモのスイーツはイケると思わない? と言いながらベルは残りのソフトクリームを食べ始める。
すでにバテ気味のルキに、少し休憩しようかと広場のベンチを薦める。
中心エリアは商店が多く賑わっていて活気があるようだ。
ちょっと待っててねと走って行ったベルは、どこかでコーヒーとソフトクリームを買ってきた。
コーヒーを受け取って一口飲んだルキは盛大にため息をつく。
「ベル、周る順番間違ってない? 荷物すごく重いんだけど」
特に芋と言うルキに、
「だから私持つっていったのに」
とベルは言う。男の自分がいるのにベルに重い荷物を持たせるわけにはいかないだろうとそんな事をいうルキを見ながらベルはアクアマリンの瞳を瞬かせ、
「男のプライド面倒くさいなぁ」
とクスクス笑う。
「あーでもルキがいるからいっぱいもらっちゃったな」
ついてきてくれてありがとうと濃紺の瞳を見ながらそう言った。
今のベルはいつも以上に着飾ってないが、楽しげに笑う彼女はいつもよりずっと可愛く見えて、ルキの胸は高鳴る。
「休憩したら、あと1ヶ所行きたいところがあるんだけど、その前に」
バーンとベルはソフトクリームをルキの前に差し出す。
「外でこのまま食べるの苦手なの知ってるけど、美味しいから一口だけでも食べてみて」
残りは私が食べるからとスプーンで掬ってそのままルキに差し出す。
固まってしまったルキに、
「ほら、溶けちゃう。あーんして」
と当たり前のように口を開けろと言う。
以前にもベルに無理矢理食べさせられたなとルキは苦笑する。
昔公共の場で恋人同士が食べさせ合うのを冷めた気持ちで見た事があるが、まさか外でベルからこんなことをされるとは思っていなかった。
「どうしたの、ルキ。アイス嫌いじゃないでしょ?」
きょとんとそういうベルからは食べさせる事に対して意識している様子は全く感じられない。
意識しているのは自分だけ。それがなんだか悔しく思うのだが、早くと期待に満ちた眼差しで再度促されたルキは早くなった心音を聞きながらソフトクリームをたべた。
「どう? 美味しいでしょ」
ドヤ顔でそんな事を言うベルは、
「実は甘イモを使ってあるんだよ。うちの領地はあんまり豊かじゃなくて。でも、土壌環境が厳しいところでも芋類は育ちやすいからって事でお兄様が持ち込んで」
お兄様は土壌改善の研究もしてるの、と誇らしげに兄を語る。
そんなベルを見ていれば彼女に下心はなく、ただ単純に美味しいと思ったモノを食べさせたかっただけなんだと分かる。
「とりあえず芋は主食になるって事でなんとか食糧確保はできたんだけど、豊かになっていくに従ってやっぱり美味しいもの食べたいよねって色々試行錯誤してできたみたいで」
ルキに食べさせたかったんだと笑う。
「……美味しいよ」
良かったと嬉しそうにベルが向ける親しげな視線の中に、自分を意識した色はなくて、ルキはそれが少し寂しくて、悲しいと思う。
「でも、まだ改善する余地いっぱいあるし、領地改革のためにも付加価値つけて稼ぐんだー」
甘イモのスイーツはイケると思わない? と言いながらベルは残りのソフトクリームを食べ始める。