結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
その16、伯爵令嬢とカウントダウン。
ベルが好きだとはっきり自覚してから、頭の中がスッキリし、目標がはっきりしたことで仕事にも今まで以上に打ち込めるようになったとルキは思う。
ナジェリー王国の姫たちを迎える準備も万全に整って、あとは来訪を待つだけとなった前日の昼下がり。
「で、ベルはヒトの家の庭で一体何をしているんだろうか?」
久しぶりに言ったなコレ、と思いながらルキはなぜかメイド服を着ているベルに尋ねる。
「え、ピザ焼いてますけど何か?」
見て分かりません? とベルは楽しそうに焼きたてのピザをルキに見せる。
「いや。いやいやいやいや! 何やってるの!? しかもこの窯どうしたの!?」
「どう、って作りましたけど?」
DIY得意なんですとベルはドヤ顔で石窯を見せるがせめて作る前に一言欲しかった。
「あ、安心してください。もうすぐパンも焼けますよ」
焼きたてパンでサンドイッチを作るのですと上機嫌に言ったベルに、
「安心……って、何が!?」
とルキは尋ねる。
「本当は燻製やりたかったんですけど、匂い付くかなって今回は断念しました!」
明日大事な接待ですもんね、分かっていますとベルは胸を張る。
「ベル、何配慮してやったぜ、褒めて。みたいな顔してるのかな!? 気遣いの方向性が迷子だと思うんだけど」
報告も連絡も相談もなかったけど、と訴えるルキに、
「だって、サプライズパーティーですから」
ニコニコニコニコと笑顔で応戦するベル。
「わぁ、お兄様本当に帰ってきてくださったのね! ベル、タイミングバッチリだわ」
そんな2人のもとにいつもより着飾り寒くないようコートを纏ったシルヴィアがかけてきた。
「でしょう。情報収集頑張りましたから。それではパンもいい感じに焼き上がったところで、シル様、お願いします」
ベルにそう言われて、シルヴィアはベルから渡されたクラッカーをパンっと鳴らし、
「お兄様、お誕生日おめでとうございます!」
満面の笑顔でそう言った。
「…………忘れてた」
明日に控えたナジェリー王国の来訪準備に忙殺されて本当に忘れていた。
「お兄様の誕生日パーティーをやりたいって言ったらみんなが協力してくれましたの」
パーティー会場は温室なのでご案内しますねとシルヴィアは楽しげにルキの手を引く。
「いつもお仕事を頑張っていらっしゃるお兄様に、少しでも息抜きがして欲しくて準備しましたの」
温室にセッティングされた席にルキが座ると同時にシルヴィアが温かい紅茶を注ぐ。
「特に今回は国としてとても重要な案件に携わられていると聞いています。私は、お兄様の妹として大変誇らしく思っています」
満面の笑顔でそう言ったシルヴィアはルキにきれいにラッピングされた箱を渡す。
「私が一番におめでとうを言いたくて、みんなに協力していただきましたの。もらってくださいますか?」
差し出された箱を受け取って、
「ありがとう、シル」
嬉しそうに笑ったルキは、優しく妹のプラチナブロンドの髪を撫でた。
「でも本当に全然気づかなかった」
元々誕生会などやらないのだが、この時期になるとこれでもかとプレゼントが贈られてくる。
それを見て自分の誕生日を思い出すのだが、と不思議そうな顔をするルキに、
「ちなみに先週あたりからルキ様宛てのプレゼントがびっくりするくらい届いていたので全部隠しておきました」
裏工作頑張りましたとベルは語る。
「仕分けしてお礼状は出しておきましたのでご安心くださいませ」
追加でシルヴィアがそう言ったところで、
「それでは、パーティーをはじめましょうか」
使用人達が温かな料理を運んできた。
ナジェリー王国の姫たちを迎える準備も万全に整って、あとは来訪を待つだけとなった前日の昼下がり。
「で、ベルはヒトの家の庭で一体何をしているんだろうか?」
久しぶりに言ったなコレ、と思いながらルキはなぜかメイド服を着ているベルに尋ねる。
「え、ピザ焼いてますけど何か?」
見て分かりません? とベルは楽しそうに焼きたてのピザをルキに見せる。
「いや。いやいやいやいや! 何やってるの!? しかもこの窯どうしたの!?」
「どう、って作りましたけど?」
DIY得意なんですとベルはドヤ顔で石窯を見せるがせめて作る前に一言欲しかった。
「あ、安心してください。もうすぐパンも焼けますよ」
焼きたてパンでサンドイッチを作るのですと上機嫌に言ったベルに、
「安心……って、何が!?」
とルキは尋ねる。
「本当は燻製やりたかったんですけど、匂い付くかなって今回は断念しました!」
明日大事な接待ですもんね、分かっていますとベルは胸を張る。
「ベル、何配慮してやったぜ、褒めて。みたいな顔してるのかな!? 気遣いの方向性が迷子だと思うんだけど」
報告も連絡も相談もなかったけど、と訴えるルキに、
「だって、サプライズパーティーですから」
ニコニコニコニコと笑顔で応戦するベル。
「わぁ、お兄様本当に帰ってきてくださったのね! ベル、タイミングバッチリだわ」
そんな2人のもとにいつもより着飾り寒くないようコートを纏ったシルヴィアがかけてきた。
「でしょう。情報収集頑張りましたから。それではパンもいい感じに焼き上がったところで、シル様、お願いします」
ベルにそう言われて、シルヴィアはベルから渡されたクラッカーをパンっと鳴らし、
「お兄様、お誕生日おめでとうございます!」
満面の笑顔でそう言った。
「…………忘れてた」
明日に控えたナジェリー王国の来訪準備に忙殺されて本当に忘れていた。
「お兄様の誕生日パーティーをやりたいって言ったらみんなが協力してくれましたの」
パーティー会場は温室なのでご案内しますねとシルヴィアは楽しげにルキの手を引く。
「いつもお仕事を頑張っていらっしゃるお兄様に、少しでも息抜きがして欲しくて準備しましたの」
温室にセッティングされた席にルキが座ると同時にシルヴィアが温かい紅茶を注ぐ。
「特に今回は国としてとても重要な案件に携わられていると聞いています。私は、お兄様の妹として大変誇らしく思っています」
満面の笑顔でそう言ったシルヴィアはルキにきれいにラッピングされた箱を渡す。
「私が一番におめでとうを言いたくて、みんなに協力していただきましたの。もらってくださいますか?」
差し出された箱を受け取って、
「ありがとう、シル」
嬉しそうに笑ったルキは、優しく妹のプラチナブロンドの髪を撫でた。
「でも本当に全然気づかなかった」
元々誕生会などやらないのだが、この時期になるとこれでもかとプレゼントが贈られてくる。
それを見て自分の誕生日を思い出すのだが、と不思議そうな顔をするルキに、
「ちなみに先週あたりからルキ様宛てのプレゼントがびっくりするくらい届いていたので全部隠しておきました」
裏工作頑張りましたとベルは語る。
「仕分けしてお礼状は出しておきましたのでご安心くださいませ」
追加でシルヴィアがそう言ったところで、
「それでは、パーティーをはじめましょうか」
使用人達が温かな料理を運んできた。