結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
ミシェルとは、シルヴィアがずっと大事に抱いていたテディベアだ。
この公爵家に来てから何度もその光景を目撃したし、使用人たちからそれがルキからシルヴィアに贈られたもので、シルヴィアがとても大事にしていることも聞いている。
宝石が散りばめられた、かなりお高そうな1点もののオーダーメイド品。
シルヴィアの部屋に立ち寄ったことはないが外から窓が開いている様子を何度か目撃した事がある。
「……やっと、見つけた」
無駄に広い公爵家の敷地を懐中電灯片手に木々を照らしながら駆け巡ったベルは、ようやく木の上に目的のテディベアを発見した。
やっぱりカラスの仕業かと巣を見上げ、ベルは躊躇うことなく木登りを開始した。
巣には当然主がいたが、運のいいことに就寝中。起こさないようにそーっと手を伸ばすが、
「もう少し。あとちょっと……」
気づかれてしまい、鳴き声と共に突かれ攻撃を受ける。攻防の末なんとかテディベアを確保したところで、
「あっ」
ベルは体勢を崩し木から落ちた。
「……痛く、ない?」
痛みを覚悟したはずが、思ったほどの衝撃がなくベルは恐る恐る目を開ける。
「ベル、こんな光源の少ない夜に木登りはやめてくれないか。せめて人を呼べよ」
とても近い場所にルキの顔があり、彼に庇われていることを認識し、アクアマリンの瞳は驚きで丸くなる。
「……っ。ごめん、なさい。あとありがとう、ございます」
慌てて体を起こして立ち上がると、お怪我は? とルキに尋ねる。
「俺は平気だけど、ベルは?」
ルキはベルの手や腕に擦過傷やいくつか小さな傷を目にとめ、手当がいるなとつぶやき、ベルのチョコレートブラウンの髪から葉っぱをとってやった。
「ミシェルっ!!」
屋敷に戻ったベルの手にテディベアの姿を見つけ、シルヴィアは走ってかけよりそれを奪うようにベルの腕から回収する。
「木の上にありました。きらきらの宝石がいっぱいついてますから、カラスが持っていったみたいです」
手に戻ったミシェルの様子を確認したシルヴィアは、
「う……そっ。破けてる」
お腹まわりや首の大きな破損に泣きそうな声を上げる。
そんはシルヴィアに視線を合わせたベルは、
「シルヴィアお嬢様、もしよろしければ、私にミシェル様を一晩お預けくださいませんか? きっと、ミシェル様を素敵に変身させて見せますから」
真剣な顔で申し出た。
この公爵家に来てから何度もその光景を目撃したし、使用人たちからそれがルキからシルヴィアに贈られたもので、シルヴィアがとても大事にしていることも聞いている。
宝石が散りばめられた、かなりお高そうな1点もののオーダーメイド品。
シルヴィアの部屋に立ち寄ったことはないが外から窓が開いている様子を何度か目撃した事がある。
「……やっと、見つけた」
無駄に広い公爵家の敷地を懐中電灯片手に木々を照らしながら駆け巡ったベルは、ようやく木の上に目的のテディベアを発見した。
やっぱりカラスの仕業かと巣を見上げ、ベルは躊躇うことなく木登りを開始した。
巣には当然主がいたが、運のいいことに就寝中。起こさないようにそーっと手を伸ばすが、
「もう少し。あとちょっと……」
気づかれてしまい、鳴き声と共に突かれ攻撃を受ける。攻防の末なんとかテディベアを確保したところで、
「あっ」
ベルは体勢を崩し木から落ちた。
「……痛く、ない?」
痛みを覚悟したはずが、思ったほどの衝撃がなくベルは恐る恐る目を開ける。
「ベル、こんな光源の少ない夜に木登りはやめてくれないか。せめて人を呼べよ」
とても近い場所にルキの顔があり、彼に庇われていることを認識し、アクアマリンの瞳は驚きで丸くなる。
「……っ。ごめん、なさい。あとありがとう、ございます」
慌てて体を起こして立ち上がると、お怪我は? とルキに尋ねる。
「俺は平気だけど、ベルは?」
ルキはベルの手や腕に擦過傷やいくつか小さな傷を目にとめ、手当がいるなとつぶやき、ベルのチョコレートブラウンの髪から葉っぱをとってやった。
「ミシェルっ!!」
屋敷に戻ったベルの手にテディベアの姿を見つけ、シルヴィアは走ってかけよりそれを奪うようにベルの腕から回収する。
「木の上にありました。きらきらの宝石がいっぱいついてますから、カラスが持っていったみたいです」
手に戻ったミシェルの様子を確認したシルヴィアは、
「う……そっ。破けてる」
お腹まわりや首の大きな破損に泣きそうな声を上げる。
そんはシルヴィアに視線を合わせたベルは、
「シルヴィアお嬢様、もしよろしければ、私にミシェル様を一晩お預けくださいませんか? きっと、ミシェル様を素敵に変身させて見せますから」
真剣な顔で申し出た。