結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「養女にするのは無理そうだし、ルキの許嫁にするのもアリかなぁって思ってたんだけどね」
「私に許嫁がいたなんて初耳ですが」
そんな小さな時からベルと縁組をしようとしていたのかと驚いたルキに、
「年の頃もちょうどいいし、ベルちゃんにうちの孫のお嫁さんに来ない? って聞いたんだけど、"お兄様よりかっこいいかハルより可愛くないと無理"と秒で断られたから許嫁にできなかった」
ベルちゃんブラコンだからとヴィンセントは笑いながら首を振った。
「待って、なんで俺の知らないとこで俺はベルに振られてるの!?」
ルキは思わず口調が崩れる。
「とまぁ幼少期から見てきたから、まるで本当の孫みたいに可愛いくてね」
ルキの訴えをまるっと無視したヴィンセントは、
「まぁ嫌なら仕方ないかって思ってたんだけど、ベルちゃんしっかり者で世話焼きだからダメ男に擦り寄られることが多くて、年頃になったあたりから心配で。どうせ難ありな人間に絆されるならうちの孫とかどうかなーって」
婚約者役頼んでみた、とそのまま話を進める。
「俺、そんな理由でベルの相手に選ばれたんですか!?」
「ルキ、お前は自分で思っているよりだいぶ難ありだからね」
そう言われてルキは言葉に詰まる。言い返せない。散々ベルにも残念だ、人として好感度最悪など言われた過去を思えば言い返せるはずもない。
「まぁ、でも今は随分マシになったようだから、ベルちゃんに感謝しなさい。今のルキならじっくり相手と向き合って伴侶を選ぶこともできるだろう」
「生憎と結婚したい相手はもう決めているので」
ヴィンセントにそう言ったルキは冷えてしまった残りのコーヒーを飲み干す。
「話を聞けてよかったです。父ともう一度向き合ってみます」
「ルシファーにこの話をするのかい?」
ルキはゆっくり首を横に振り、
「祖父様を味方につけられたら、と思った事もありましたが、自分でなんとかします。血筋は関係ないんです。私が好きになったのはベル・ストラル伯爵令嬢なので」
ベルがストラル伯爵令嬢である事を選んだのなら、たとえ彼女が王族の血を引く人であったとしてもその威光を借りて彼女の地位を固めようとは思わない。
多分、彼女はこの話を聞いたとしてもストラル伯爵家の人間である事を選ぶだろう。ベルにはベルのままでいて欲しいとルキは思う。
「そうか。じゃあ、頑張りなさい」
必要な事があれば力を貸すからと笑うヴィンセントに、
「じゃあ早速ですが、ストラル伯爵を紹介して欲しいです。商談を持ち込みたいので」
ルキはそう依頼する。
「商談?」
「ええ、ちょっとした事業のプレゼンをしようかなって。今うちの領地はストラル伯爵領と通常の取引停止でしょ? なので新規事業のご案内です」
ようやく準備ができたので、とルキは楽しそうに笑ってそう言った。
「私に許嫁がいたなんて初耳ですが」
そんな小さな時からベルと縁組をしようとしていたのかと驚いたルキに、
「年の頃もちょうどいいし、ベルちゃんにうちの孫のお嫁さんに来ない? って聞いたんだけど、"お兄様よりかっこいいかハルより可愛くないと無理"と秒で断られたから許嫁にできなかった」
ベルちゃんブラコンだからとヴィンセントは笑いながら首を振った。
「待って、なんで俺の知らないとこで俺はベルに振られてるの!?」
ルキは思わず口調が崩れる。
「とまぁ幼少期から見てきたから、まるで本当の孫みたいに可愛いくてね」
ルキの訴えをまるっと無視したヴィンセントは、
「まぁ嫌なら仕方ないかって思ってたんだけど、ベルちゃんしっかり者で世話焼きだからダメ男に擦り寄られることが多くて、年頃になったあたりから心配で。どうせ難ありな人間に絆されるならうちの孫とかどうかなーって」
婚約者役頼んでみた、とそのまま話を進める。
「俺、そんな理由でベルの相手に選ばれたんですか!?」
「ルキ、お前は自分で思っているよりだいぶ難ありだからね」
そう言われてルキは言葉に詰まる。言い返せない。散々ベルにも残念だ、人として好感度最悪など言われた過去を思えば言い返せるはずもない。
「まぁ、でも今は随分マシになったようだから、ベルちゃんに感謝しなさい。今のルキならじっくり相手と向き合って伴侶を選ぶこともできるだろう」
「生憎と結婚したい相手はもう決めているので」
ヴィンセントにそう言ったルキは冷えてしまった残りのコーヒーを飲み干す。
「話を聞けてよかったです。父ともう一度向き合ってみます」
「ルシファーにこの話をするのかい?」
ルキはゆっくり首を横に振り、
「祖父様を味方につけられたら、と思った事もありましたが、自分でなんとかします。血筋は関係ないんです。私が好きになったのはベル・ストラル伯爵令嬢なので」
ベルがストラル伯爵令嬢である事を選んだのなら、たとえ彼女が王族の血を引く人であったとしてもその威光を借りて彼女の地位を固めようとは思わない。
多分、彼女はこの話を聞いたとしてもストラル伯爵家の人間である事を選ぶだろう。ベルにはベルのままでいて欲しいとルキは思う。
「そうか。じゃあ、頑張りなさい」
必要な事があれば力を貸すからと笑うヴィンセントに、
「じゃあ早速ですが、ストラル伯爵を紹介して欲しいです。商談を持ち込みたいので」
ルキはそう依頼する。
「商談?」
「ええ、ちょっとした事業のプレゼンをしようかなって。今うちの領地はストラル伯爵領と通常の取引停止でしょ? なので新規事業のご案内です」
ようやく準備ができたので、とルキは楽しそうに笑ってそう言った。