結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
番外編2 幸せとは些細な日常の中で見つかるものらしい。
今日は待ちに待ったベルが公爵家に来る日。
シルヴィアは仮病で学園をサボり、裏口からこっそり帰宅。
打ち合わせを兼ねた面会日は基本公爵家に泊まる事が多いし、今日は何して遊ぼうかしらと考えながらシルヴィアは制服のままベルの部屋に突撃する。
「ベルーー! お話し終わった?」
とドアを開けてベルに抱きつけば、少し驚いた顔をしたベルは満面の笑みを浮かべて、
「わぁ、制服とっても似合ってます。シル様は本当になんでも似合いますね」
初めて見ましたと将来の義妹を愛でる。
「学校はどうですか?」
「すっごく新鮮! 特に経済学が面白くって」
とシルヴィアは楽しそうに語る。
「ふふ、シル様とっても楽しそうですね。お友達もあっという間に出来ちゃうんじゃないですか?」
ベルがそう尋ねた瞬間、シルヴィアの表情が強張る。
「……シル様?」
「ベル、どうしよう。私、お友達の作り方が分からないわ」
しゅんと悲しげにしょげるシルヴィア。犬だったら尻尾も耳も垂れていそうだと想像し、ベルは口元を押さえて悶える。
「……ベル?」
シルヴィアから訝しげな視線を向けられたベルは、
「すみません、犬派なもので」
めちゃくちゃ可愛いとシルヴィアの頭を撫でた。
話を掘り下げると、高位貴族であるシルヴィアにはあっという間に取り巻きができたらしい。
だが、寄ってくる人達はシルヴィアの公爵令嬢の肩書きに釣られてきた人間ばかりで"友達"とは呼べない。
「それに、選択クラスで話しかけてくれた子達にも、恥ずかしくてつい高圧的な態度をとってしまって」
「あーシル様ツンデレですもんね」
美少女のツンデレ。大人になればその良さも分かるが初見でしかも高位貴族の発言ともなればどうしたって相手を萎縮させてしまうだろう。
「普通の、純粋に利害のない関係を望むのなんて無理……なのかな」
例えば、ベルと話すように。
あるいは、ストラル社で嬉々として実験結果を見せてくれる研究者達のように。
「私、このままお友達できなかったらどうしよう」
公爵令嬢としてではなく、シルヴィア個人として交友関係を築いてみたい。だが、シルヴィアにはその方法が分からない。
「うーん、なるほど……上流階級の貴族には上流階級ならではの悩みがあるわけですね」
シルヴィアの性格を今すぐどうにかするのは難しいしなぁと少し考えたベルは、
「よし、じゃあシル様。"悪い事"しましょうか」
楽しそうにそう提案した。
「で、ベル。君はヒトの妹に何をしているのだろうか?」
書き置きと共に護衛もつけずに姿を消したベルとシルヴィアを迎えに来たルキは、なぜかツインテールにされている制服姿のシルヴィアを見ながらベルに問いかける。
「それにシルのこの髪型何?」
シルは何しても似合うけどと言いながらルキは普段絶対しない髪型にされているシルヴィアの髪を軽く引っ張る。
「ルキ様、分かってないですね〜。美少女ツンデレ属性ツインテールは様式美ですよ?」
ドヤ顔で可愛かろうと語るベルは、
「品行方正なお嬢様にいけないことを教えてますけど、何か?」
ふふっと楽しそうに笑った。
シルヴィアは仮病で学園をサボり、裏口からこっそり帰宅。
打ち合わせを兼ねた面会日は基本公爵家に泊まる事が多いし、今日は何して遊ぼうかしらと考えながらシルヴィアは制服のままベルの部屋に突撃する。
「ベルーー! お話し終わった?」
とドアを開けてベルに抱きつけば、少し驚いた顔をしたベルは満面の笑みを浮かべて、
「わぁ、制服とっても似合ってます。シル様は本当になんでも似合いますね」
初めて見ましたと将来の義妹を愛でる。
「学校はどうですか?」
「すっごく新鮮! 特に経済学が面白くって」
とシルヴィアは楽しそうに語る。
「ふふ、シル様とっても楽しそうですね。お友達もあっという間に出来ちゃうんじゃないですか?」
ベルがそう尋ねた瞬間、シルヴィアの表情が強張る。
「……シル様?」
「ベル、どうしよう。私、お友達の作り方が分からないわ」
しゅんと悲しげにしょげるシルヴィア。犬だったら尻尾も耳も垂れていそうだと想像し、ベルは口元を押さえて悶える。
「……ベル?」
シルヴィアから訝しげな視線を向けられたベルは、
「すみません、犬派なもので」
めちゃくちゃ可愛いとシルヴィアの頭を撫でた。
話を掘り下げると、高位貴族であるシルヴィアにはあっという間に取り巻きができたらしい。
だが、寄ってくる人達はシルヴィアの公爵令嬢の肩書きに釣られてきた人間ばかりで"友達"とは呼べない。
「それに、選択クラスで話しかけてくれた子達にも、恥ずかしくてつい高圧的な態度をとってしまって」
「あーシル様ツンデレですもんね」
美少女のツンデレ。大人になればその良さも分かるが初見でしかも高位貴族の発言ともなればどうしたって相手を萎縮させてしまうだろう。
「普通の、純粋に利害のない関係を望むのなんて無理……なのかな」
例えば、ベルと話すように。
あるいは、ストラル社で嬉々として実験結果を見せてくれる研究者達のように。
「私、このままお友達できなかったらどうしよう」
公爵令嬢としてではなく、シルヴィア個人として交友関係を築いてみたい。だが、シルヴィアにはその方法が分からない。
「うーん、なるほど……上流階級の貴族には上流階級ならではの悩みがあるわけですね」
シルヴィアの性格を今すぐどうにかするのは難しいしなぁと少し考えたベルは、
「よし、じゃあシル様。"悪い事"しましょうか」
楽しそうにそう提案した。
「で、ベル。君はヒトの妹に何をしているのだろうか?」
書き置きと共に護衛もつけずに姿を消したベルとシルヴィアを迎えに来たルキは、なぜかツインテールにされている制服姿のシルヴィアを見ながらベルに問いかける。
「それにシルのこの髪型何?」
シルは何しても似合うけどと言いながらルキは普段絶対しない髪型にされているシルヴィアの髪を軽く引っ張る。
「ルキ様、分かってないですね〜。美少女ツンデレ属性ツインテールは様式美ですよ?」
ドヤ顔で可愛かろうと語るベルは、
「品行方正なお嬢様にいけないことを教えてますけど、何か?」
ふふっと楽しそうに笑った。