結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
外交省でのパーティー当日。
業務を終えたルキは、パーティー準備のためいつもより早く帰宅した。
「お兄様お帰りなさい!!」
「上機嫌だなシル」
踊り出しそうなほど上機嫌でルキを迎え入れたシルヴィアは、
「見て見て! ベルの変身っぷりを」
と自慢げにそういいながらルキのことを引っ張っていく。
「そう引っ張るな。どうせ、馬子にも衣装だろ」
今日ベルがどんなドレスを着るのかは一緒に選んだので知っている。それに合わせた宝石も含めて全て把握しているので、とくに驚く事もないんだがと思いながら、ルキはシルヴィアに促されるまま部屋のドアを開けた。
「おかえりなさいませ、ルキ様」
そう言って淑女らしく礼をしたベルの姿を見て、ルキは驚きで目を見開く。
「私の方は支度が済んでおりますので、ルキ様のお支度が整いましたら……どうされました?」
普段屋敷にいる時はメイド服姿が定着してしまっているベルの着飾った姿を見るのは、彼女が公爵家で暮らし始めてからこれが初めてで、お見合いの時の衣装ともまるで違う装いに目が奪われる。
「いや、綺麗だと思って」
いつも綺麗にまとめ上げているチョコレートブラウンの長い髪は今日はおろしてゆるく巻いて髪飾りで華やかに仕上げられ、ドレスに合わせていつもより濃い目に施された化粧がベルをいつも以上に大人っぽくみせている。
姿勢良く凛とした立ち姿でそこにいるベルはぐっとルキに詰め寄ると、
「ですよね! 分かります!! さすがマダム・リリスのドレス!! 魔電灯の下で美しく映えるように計算され尽くした青を基調とした下に行くほど淡い色味になるグラデーションとレース使い。女性らしいラインが綺麗に出る曲線美! 背中側から見たときに映える繊細な刺繍と歩いた時にふわりと揺れるドレスの軽やかさ。綺麗と可愛い両方を最高のバランスで整えたAラインのパーティードレスですよね! こんなドレス着られるなんて我が人生に一片の悔いなしってくらい素敵です」
とベルはドレスについて熱弁する。
ルキは褒めたのはドレスじゃなかったんだがと思いつつも、
「ははっ、そんなに気に入ったんならよかった」
ベルがとても嬉しそうに笑うので良しとした。
「うわぁーさっすが外交省のパーティー。大規模ですね!」
パーティー会場についたベルは、華やかに飾られている広い会場に感嘆の声を上げる。
「これでもうちだけだから、控えめな方なんだけどな」
ルキが普段出席する夜会の規模の中では小さい方ではあるが、外交省に勤務している者の家族や婚約者なども招待されているので人数は比較的多い。
「あんまりはしゃいで迷子になるなよ?」
物珍しそうにあたりに視線を向けるベルを見ながらルキは揶揄うようにそう言った。
「ふふ、私が迷子になるんじゃなくて、ルキ様が"拐かされる"の間違いでは?」
それに応戦するようにそう返したベルは、
「お手をどうぞ、王子様?」
とルキの方に手を差し出す。
「……それは、俺の役目ではなかろうか?」
なんでベルがエスコートしてるんだよとクスっと笑いながら、ベルの手を取ったルキは彼女の手を引いて場内をまわり始めた。
業務を終えたルキは、パーティー準備のためいつもより早く帰宅した。
「お兄様お帰りなさい!!」
「上機嫌だなシル」
踊り出しそうなほど上機嫌でルキを迎え入れたシルヴィアは、
「見て見て! ベルの変身っぷりを」
と自慢げにそういいながらルキのことを引っ張っていく。
「そう引っ張るな。どうせ、馬子にも衣装だろ」
今日ベルがどんなドレスを着るのかは一緒に選んだので知っている。それに合わせた宝石も含めて全て把握しているので、とくに驚く事もないんだがと思いながら、ルキはシルヴィアに促されるまま部屋のドアを開けた。
「おかえりなさいませ、ルキ様」
そう言って淑女らしく礼をしたベルの姿を見て、ルキは驚きで目を見開く。
「私の方は支度が済んでおりますので、ルキ様のお支度が整いましたら……どうされました?」
普段屋敷にいる時はメイド服姿が定着してしまっているベルの着飾った姿を見るのは、彼女が公爵家で暮らし始めてからこれが初めてで、お見合いの時の衣装ともまるで違う装いに目が奪われる。
「いや、綺麗だと思って」
いつも綺麗にまとめ上げているチョコレートブラウンの長い髪は今日はおろしてゆるく巻いて髪飾りで華やかに仕上げられ、ドレスに合わせていつもより濃い目に施された化粧がベルをいつも以上に大人っぽくみせている。
姿勢良く凛とした立ち姿でそこにいるベルはぐっとルキに詰め寄ると、
「ですよね! 分かります!! さすがマダム・リリスのドレス!! 魔電灯の下で美しく映えるように計算され尽くした青を基調とした下に行くほど淡い色味になるグラデーションとレース使い。女性らしいラインが綺麗に出る曲線美! 背中側から見たときに映える繊細な刺繍と歩いた時にふわりと揺れるドレスの軽やかさ。綺麗と可愛い両方を最高のバランスで整えたAラインのパーティードレスですよね! こんなドレス着られるなんて我が人生に一片の悔いなしってくらい素敵です」
とベルはドレスについて熱弁する。
ルキは褒めたのはドレスじゃなかったんだがと思いつつも、
「ははっ、そんなに気に入ったんならよかった」
ベルがとても嬉しそうに笑うので良しとした。
「うわぁーさっすが外交省のパーティー。大規模ですね!」
パーティー会場についたベルは、華やかに飾られている広い会場に感嘆の声を上げる。
「これでもうちだけだから、控えめな方なんだけどな」
ルキが普段出席する夜会の規模の中では小さい方ではあるが、外交省に勤務している者の家族や婚約者なども招待されているので人数は比較的多い。
「あんまりはしゃいで迷子になるなよ?」
物珍しそうにあたりに視線を向けるベルを見ながらルキは揶揄うようにそう言った。
「ふふ、私が迷子になるんじゃなくて、ルキ様が"拐かされる"の間違いでは?」
それに応戦するようにそう返したベルは、
「お手をどうぞ、王子様?」
とルキの方に手を差し出す。
「……それは、俺の役目ではなかろうか?」
なんでベルがエスコートしてるんだよとクスっと笑いながら、ベルの手を取ったルキは彼女の手を引いて場内をまわり始めた。