結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
時間もあっと言う間に過ぎていき、少し化粧室に席を外していたベルが、バルコニーで夜風に当たって休憩しているはずのルキの元に戻ると、巻いたはずのカロリーナ嬢に詰め寄られているのが目に入った。
本当に息をするように絡まれるなとベルは呆れつつ、ルキから人寄せフェロモンでも抽出できたら大ヒット商品になるのではなんてことをチラッと考えた。
「ルキ様っ! 私、本気ですのよ。ずっと、ずっと。お慕いしていましたの」
カロリーナの鼻にかかったような甘ったるい声が聞こえ、ベルは現実に引き戻される。
「はぁ、仕方ないなぁ。助けてあげますか」
ドレスもらっちゃったしと肩を竦めてベルはルキ達の方へ歩いていった。
「俺には婚約者がいる」
「あんな地味で冴えない女、貴方様には相応しくないですわ。それに、アレは成金令嬢の上に私生児ではありませんか! 高貴なる血を引く」
「ルキ様、そこで何をなさっているのです?」
コツコツコツコツとわざとヒールの音を立てて存在をアピールしたベルはそう言って声をかける。
「あなたは確か本日ルキ様にずっと付き纏い行為を行っていましたね」
ベルはどこからともなく小さなペンを取り出すと、
「よろけてぶつかり抱きつこうとした回数1回、本人の了承も取らず腕を組んだ回数1回、私にワインをかけようとした回数2回、私への侮辱的発言2回、婚約者がいるルキ様への詰め寄り行為全て証拠は押さえております」
コレ、音声と映像記録できるんですとペンを軽く振ってみせたベルは、
「ルキ様が目を瞑ってくださっている間に立ち去ってはどうです?」
これ以上は家同士の問題に発展しますよ? とベルはカロリーナに忠告する。
「なっ! 隠し撮りなどはしたない」
「そう言われましても、自衛のためには証拠を押さえるのも大事ですしねぇ。ヒトの婚約者に詰め寄る方がよほどはしたない、かと?」
コツコツコツコツと近づいたベルはルキとカロリーナの間に入ってルキを後方の暗がりの方に下がらせる。
「ルキ様、ちょっと黙ってじっとしててくださいね?」
ベルは耳元でそう囁くと、ルキにカロリーナに背を向けさせ、背伸びをしてキスをする。
「…………っな」
いきなりの出来事にあっけに取られたカロリーナはわなわなと肩を震わせ。
「な、な、なに……して」
「しぃー。見てわかりません? 今、良いとこなのに」
ルキの首に腕を回して抱きしめたベルは、妖艶に笑ってそう告げる。
「は、はしたない」
「言ってもご理解いただけないようなので、お見せしたまでです。見ての通り、この人私のモノなので。お引き取りいただけます?」
「………っ」
ニコッと小首を傾げてそう言ったベルの勝ち誇った顔を見て、顔を真っ赤にさせたカロリーナはパタパタパタっと足音を立てて去って行った。
本当に息をするように絡まれるなとベルは呆れつつ、ルキから人寄せフェロモンでも抽出できたら大ヒット商品になるのではなんてことをチラッと考えた。
「ルキ様っ! 私、本気ですのよ。ずっと、ずっと。お慕いしていましたの」
カロリーナの鼻にかかったような甘ったるい声が聞こえ、ベルは現実に引き戻される。
「はぁ、仕方ないなぁ。助けてあげますか」
ドレスもらっちゃったしと肩を竦めてベルはルキ達の方へ歩いていった。
「俺には婚約者がいる」
「あんな地味で冴えない女、貴方様には相応しくないですわ。それに、アレは成金令嬢の上に私生児ではありませんか! 高貴なる血を引く」
「ルキ様、そこで何をなさっているのです?」
コツコツコツコツとわざとヒールの音を立てて存在をアピールしたベルはそう言って声をかける。
「あなたは確か本日ルキ様にずっと付き纏い行為を行っていましたね」
ベルはどこからともなく小さなペンを取り出すと、
「よろけてぶつかり抱きつこうとした回数1回、本人の了承も取らず腕を組んだ回数1回、私にワインをかけようとした回数2回、私への侮辱的発言2回、婚約者がいるルキ様への詰め寄り行為全て証拠は押さえております」
コレ、音声と映像記録できるんですとペンを軽く振ってみせたベルは、
「ルキ様が目を瞑ってくださっている間に立ち去ってはどうです?」
これ以上は家同士の問題に発展しますよ? とベルはカロリーナに忠告する。
「なっ! 隠し撮りなどはしたない」
「そう言われましても、自衛のためには証拠を押さえるのも大事ですしねぇ。ヒトの婚約者に詰め寄る方がよほどはしたない、かと?」
コツコツコツコツと近づいたベルはルキとカロリーナの間に入ってルキを後方の暗がりの方に下がらせる。
「ルキ様、ちょっと黙ってじっとしててくださいね?」
ベルは耳元でそう囁くと、ルキにカロリーナに背を向けさせ、背伸びをしてキスをする。
「…………っな」
いきなりの出来事にあっけに取られたカロリーナはわなわなと肩を震わせ。
「な、な、なに……して」
「しぃー。見てわかりません? 今、良いとこなのに」
ルキの首に腕を回して抱きしめたベルは、妖艶に笑ってそう告げる。
「は、はしたない」
「言ってもご理解いただけないようなので、お見せしたまでです。見ての通り、この人私のモノなので。お引き取りいただけます?」
「………っ」
ニコッと小首を傾げてそう言ったベルの勝ち誇った顔を見て、顔を真っ赤にさせたカロリーナはパタパタパタっと足音を立てて去って行った。