結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「…………君は、ホントにブレないな」
いつもと変わらないベルの対応にどこかホッとしながら、ルキは苦笑気味にそう漏らす。
「うじうじしているあなたに付き合うなんて、時間が惜しいです」
はっきりそう言い切るベルは、
「同情して欲しいんですか? それとも優しい言葉で甘ったるく慰めて欲しいんですか?」
とルキの濃紺の瞳をじっと見つめて言葉を紡ぐ。息を飲んだルキに、
「そんな事、あなた望んでいないでしょ?」
優しい口調でそういった。
「私がその件に関して、ルキ様にしてあげられる事なんて何もないですよ。せいぜい、聞き流してあげられるくらいです」
だから、聞き流して差し上げます。
そう言ったアクアマリンの瞳には、媚びるような色味も弱みに漬け込むような色味も混ざっていなくて、ルキはなぜかとても安心した。
「そもそも私にとっては、で、それが何? って話ですよ。ミリも興味ないですね、あなたの身の上も女性不信の元凶も」
だから、そんなことくらいであなたに対しての見方なんて変わらないから安心して話せばいい。
そう言われた気がして、ルキの強張った表情は溶けて行く。
「冷たいなぁ、君は」
優しい口調で笑ったルキは、そんな文句を口にしながらホットミルクを口にした。
その味が自分の好みの甘さに整えられていたことに驚き、顔を上げたところでベルと視線があった。
「大丈夫ですよ、あなたは。私が何か言わなくても」
目の合ったベルは、いつもの揶揄うような目ではなくとても優しい目をしていた。
「女が嫌いで括って相手を切り捨てたりせずに、ちゃんと婚約者と向き合おうとしてる」
苦手に向き合って考えや行動を自分で変えられるそんな人に、何を言う必要があるんです? そう言ってクスッと笑ったベルは、
「毒づくことや弱音を吐く事が悪いことだとは思いません。だから、抱えきれなくなったら吐き出してもいいですよ。ただの契約相手の愚痴なんて、私にとってはまるで興味ない話なんで、全部聞き流してあげますから」
優しい口調でそう言葉を締めくくった。
擦り寄ってくるような甘さの伴う優しさが苦手な自分に合わせてくれる、ベルのそんな優しさが素直にルキにはありがたかった。
「……ありがとう」
「特にお礼を言われることもしてないですけどね」
と軽く流したベルは、
「契約内容ですけど、ちょっと加筆修正したいので、できたら見てもらえます?」
近日中に用意しますからとルキに尋ねる。
「ああ、待ってる」
そう言って微笑んだルキの中には、部屋を訪れたときのささくれだった気持ちはいつの間にかなくなっていた。
いつもと変わらないベルの対応にどこかホッとしながら、ルキは苦笑気味にそう漏らす。
「うじうじしているあなたに付き合うなんて、時間が惜しいです」
はっきりそう言い切るベルは、
「同情して欲しいんですか? それとも優しい言葉で甘ったるく慰めて欲しいんですか?」
とルキの濃紺の瞳をじっと見つめて言葉を紡ぐ。息を飲んだルキに、
「そんな事、あなた望んでいないでしょ?」
優しい口調でそういった。
「私がその件に関して、ルキ様にしてあげられる事なんて何もないですよ。せいぜい、聞き流してあげられるくらいです」
だから、聞き流して差し上げます。
そう言ったアクアマリンの瞳には、媚びるような色味も弱みに漬け込むような色味も混ざっていなくて、ルキはなぜかとても安心した。
「そもそも私にとっては、で、それが何? って話ですよ。ミリも興味ないですね、あなたの身の上も女性不信の元凶も」
だから、そんなことくらいであなたに対しての見方なんて変わらないから安心して話せばいい。
そう言われた気がして、ルキの強張った表情は溶けて行く。
「冷たいなぁ、君は」
優しい口調で笑ったルキは、そんな文句を口にしながらホットミルクを口にした。
その味が自分の好みの甘さに整えられていたことに驚き、顔を上げたところでベルと視線があった。
「大丈夫ですよ、あなたは。私が何か言わなくても」
目の合ったベルは、いつもの揶揄うような目ではなくとても優しい目をしていた。
「女が嫌いで括って相手を切り捨てたりせずに、ちゃんと婚約者と向き合おうとしてる」
苦手に向き合って考えや行動を自分で変えられるそんな人に、何を言う必要があるんです? そう言ってクスッと笑ったベルは、
「毒づくことや弱音を吐く事が悪いことだとは思いません。だから、抱えきれなくなったら吐き出してもいいですよ。ただの契約相手の愚痴なんて、私にとってはまるで興味ない話なんで、全部聞き流してあげますから」
優しい口調でそう言葉を締めくくった。
擦り寄ってくるような甘さの伴う優しさが苦手な自分に合わせてくれる、ベルのそんな優しさが素直にルキにはありがたかった。
「……ありがとう」
「特にお礼を言われることもしてないですけどね」
と軽く流したベルは、
「契約内容ですけど、ちょっと加筆修正したいので、できたら見てもらえます?」
近日中に用意しますからとルキに尋ねる。
「ああ、待ってる」
そう言って微笑んだルキの中には、部屋を訪れたときのささくれだった気持ちはいつの間にかなくなっていた。