結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
休憩時間に一般的に、と前置きをして、ルキはレインに話し出した。
「なぁ、これは例えば、というか友人の話なんだけど。寝言……っていうか意識混濁してる時に付き合ってる相手とは別の男の名前を口にするって、どう言う事だと思う?」
「どう、ってそう言う事だろ」
「……具体的には?」
「浮気」
レインにキッパリそう言われ、ルキはとても嫌そうな顔をする。
ルキがその手の話を嫌うことを知っているレインは、
「けど、ベル嬢はそんなタイプには見えなかったけどな。なんか、時間の無駄とか言いそう」
と言葉を続けた。
「……なんでベルの話になるんだよ」
「俺が把握してる限り、ルキに恋愛相談するような親しい友人はいない。っていうか、ルキに恋人紹介しようものなら破局しか待ってないのに、まともな人間ならそんな話ルキに持ってこないだろ」
縁切りたい相手ならともかくと言い切るレインに、
「ひどい言われようだ」
そういいつつ、身に覚えしかないルキは何人友人失ったかなとため息をついた。
「気になるなら、本人に聞いてみればいいんじゃない? ベル嬢はスパッと答えてくれそうな気がするけど」
ベルの話と確定した上で話すレインに否定する気力の失せたルキは、
「……ベルに、嘘をつかれていたらと思うとなんとなく怖くてな」
と本音を吐露した。
「……ルキ、お前超面倒臭いな」
「なんか最近総出で俺に対しての当たりがきついんだけど」
その塩対応代表ともいえるのはベルなのだが、パーティー以降レインをはじめとした同僚の対応もつれない。
「そりゃあ、四六時中婚約者との惚気話聞かされたら当たりたくもなるだろうよ」
「はっ?」
惚気、など身に覚えの全くない単語に素で返事をしたルキを見て、
「無自覚かよ。うわぁ、お前最近話す内容9割ベル嬢だからな? 俺無駄にベル嬢情報に詳しくなってるんだけど」
とレインは呆れた口調でそう言った。
「…………そんなに、話してた……か?」
はて、とルキは自分の言動を思い返してみる。確かにベルの話はしていたように思うが、やはり惚気た覚えなど全くない。
そもそも彼女との関係はただの恋人ごっこでしかなく、人に惚気るようなエピソードも特に思いつかない。
「まぁ交際が順調なのはいい事だけどね。なんかこう、ルキって基本対人関係破壊魔だし」
「それは、俺が悪いんだろうか?」
本当にひどい言われようだとルキは眉根を寄せて不服を訴える。
「ルキが悪いんじゃないけどね。周りが勝手にルキを巡って愛憎劇繰り広げてるだけで」
昔からそうだった。
ルキに近づきたい令嬢がルキの周りにいる友人に近づきルキに迫ったり、友人が恋人や婚約者をルキに紹介し、ルキが社交辞令を述べただけで、相手の女はルキのストーカーと化す。
おかげでまともな友好関係を築けているのはレインをはじめとした数人だけで、あとは全て仕事上だけの繋がりだ。
「だからさ、正直ベル嬢と婚約するって聞いたときは驚いたっていうより自暴自棄になったんじゃないかって心配だったんだけど」
「……自暴自棄だったわけでは」
むしろ断ろうとしたところにベルに結婚には全く興味がないけど、契約婚約者はいかがかとプレゼンされて、今に至る。
そして清々しいほどにベルに男として興味を持たれていない関係がルキとしては新鮮でしかたない。
「なぁ、これは例えば、というか友人の話なんだけど。寝言……っていうか意識混濁してる時に付き合ってる相手とは別の男の名前を口にするって、どう言う事だと思う?」
「どう、ってそう言う事だろ」
「……具体的には?」
「浮気」
レインにキッパリそう言われ、ルキはとても嫌そうな顔をする。
ルキがその手の話を嫌うことを知っているレインは、
「けど、ベル嬢はそんなタイプには見えなかったけどな。なんか、時間の無駄とか言いそう」
と言葉を続けた。
「……なんでベルの話になるんだよ」
「俺が把握してる限り、ルキに恋愛相談するような親しい友人はいない。っていうか、ルキに恋人紹介しようものなら破局しか待ってないのに、まともな人間ならそんな話ルキに持ってこないだろ」
縁切りたい相手ならともかくと言い切るレインに、
「ひどい言われようだ」
そういいつつ、身に覚えしかないルキは何人友人失ったかなとため息をついた。
「気になるなら、本人に聞いてみればいいんじゃない? ベル嬢はスパッと答えてくれそうな気がするけど」
ベルの話と確定した上で話すレインに否定する気力の失せたルキは、
「……ベルに、嘘をつかれていたらと思うとなんとなく怖くてな」
と本音を吐露した。
「……ルキ、お前超面倒臭いな」
「なんか最近総出で俺に対しての当たりがきついんだけど」
その塩対応代表ともいえるのはベルなのだが、パーティー以降レインをはじめとした同僚の対応もつれない。
「そりゃあ、四六時中婚約者との惚気話聞かされたら当たりたくもなるだろうよ」
「はっ?」
惚気、など身に覚えの全くない単語に素で返事をしたルキを見て、
「無自覚かよ。うわぁ、お前最近話す内容9割ベル嬢だからな? 俺無駄にベル嬢情報に詳しくなってるんだけど」
とレインは呆れた口調でそう言った。
「…………そんなに、話してた……か?」
はて、とルキは自分の言動を思い返してみる。確かにベルの話はしていたように思うが、やはり惚気た覚えなど全くない。
そもそも彼女との関係はただの恋人ごっこでしかなく、人に惚気るようなエピソードも特に思いつかない。
「まぁ交際が順調なのはいい事だけどね。なんかこう、ルキって基本対人関係破壊魔だし」
「それは、俺が悪いんだろうか?」
本当にひどい言われようだとルキは眉根を寄せて不服を訴える。
「ルキが悪いんじゃないけどね。周りが勝手にルキを巡って愛憎劇繰り広げてるだけで」
昔からそうだった。
ルキに近づきたい令嬢がルキの周りにいる友人に近づきルキに迫ったり、友人が恋人や婚約者をルキに紹介し、ルキが社交辞令を述べただけで、相手の女はルキのストーカーと化す。
おかげでまともな友好関係を築けているのはレインをはじめとした数人だけで、あとは全て仕事上だけの繋がりだ。
「だからさ、正直ベル嬢と婚約するって聞いたときは驚いたっていうより自暴自棄になったんじゃないかって心配だったんだけど」
「……自暴自棄だったわけでは」
むしろ断ろうとしたところにベルに結婚には全く興味がないけど、契約婚約者はいかがかとプレゼンされて、今に至る。
そして清々しいほどにベルに男として興味を持たれていない関係がルキとしては新鮮でしかたない。