結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「……観劇のチケット。これ、今一番話題の奴じゃないですか」
よく取れましたねと差し出されたチケットを見てベルは驚く。
「たまたま。それに、ベル誕生日だろ」
「…………どうしたんですか?」
誕生日、のワードに反応し、ベルは訝しげに眉を顰める。
「どうって?」
「いや、だってルキ様ですよ? 私の誕生日とか絶対知らなさそうだし、観劇とか興味なさそうだし」
おかしい。
絶対、何かがおかしい。
とベルは誰かの介入があったのではないかと疑う。
「ハルに偶然聞いたんだ」
「偶然、ねぇ」
無料より高いものはない、と常々思っているベルは、差し出されたそれをなお受け取るべきか迷う。
「ベル、君は俺のこと何だと思ってるの」
じっーと訝しげな視線を寄越すベルに、そう尋ねたルキは、
「金払いのいい残念なイケメン」
「いらないんだな」
いらないならシュレッダー行きだなと1枚で軽くベルの食費3ヶ月分はするプラチナチケットをあっさり捨てようとする。
「うわぁ、嘘うそ、いります。行きます! 行きたいです!!」
捨てないでっとベルは慌ててルキの手からチケットを奪い取る。
最初から素直にそうすればいいのに、とため息をついたルキは、
「普段、世話になってるから。これでも感謝してるんだよ」
ふいっとそっぽを向いて、照れたようにそう言った。
そんなルキをびっくりしたように目を大きくして見たベルは、
「ふふ、じゃあ楽しみにしてます」
優しい色をしたアクアマリンの瞳を瞬かせてそう言った。
「で、ベル。ものすごく気になること聞いていい? 君は一体何をしているんだろうか?」
久しぶりに言われたなそのセリフと思いながら、
「あれ? 知りませんでした? 家庭菜園はじめました♡」
と手に持っているハサミとカゴを見せてそう言った。
「他人ん家の庭で何勝手に第一次産業はじめてくれてんの!?」
見に行ったけどあれは家庭菜園の規模じゃねぇよ! とルキは全力でツッコミを入れた。
「いや、だって庭無駄に広いし、相談したらノリノリで」
「ベル、準備できたわ。って、お兄様何してますの?」
「それはこっちのセリフなんだけど、シル」
ベルの部屋にひょこっと顔を覗かせたシルに驚いたルキは、
「私はこれからベルと一緒にお野菜の収穫をするの」
「はっ? シルまで巻き込んでんの?」
「YES! 我らが農場のスポンサーです」
やっぱり家庭菜園じゃなくて農場じゃん! とどう見ても家庭で消費できる量じゃないあの野菜をどうする気なんだとルキは額を押さえる。
「えっ? お兄様本当に気づいてなかったんですか? 先日の夕食も私が栽培したお野菜使いましたのに」
こんなにわりと盛大に庭いじりしてるのに、本当に気づかなかったの? とてっきり黙認されているものだと思っていたシルヴィアは素直に驚く。
「あらあら〜ひどいお兄ちゃんですねぇ。というわけで、シル様が丹精込めてお兄ちゃんのために作ったお野菜なんですからちゃんと食べてくださいよ〜」
まぁ実際育てているのは使用人とベルなのだが、"シルヴィアが"を前面に出されては流石のルキも無下にはできまいというシルヴィアへの食育とルキの野菜嫌い克服に向けた作戦だ。
よく取れましたねと差し出されたチケットを見てベルは驚く。
「たまたま。それに、ベル誕生日だろ」
「…………どうしたんですか?」
誕生日、のワードに反応し、ベルは訝しげに眉を顰める。
「どうって?」
「いや、だってルキ様ですよ? 私の誕生日とか絶対知らなさそうだし、観劇とか興味なさそうだし」
おかしい。
絶対、何かがおかしい。
とベルは誰かの介入があったのではないかと疑う。
「ハルに偶然聞いたんだ」
「偶然、ねぇ」
無料より高いものはない、と常々思っているベルは、差し出されたそれをなお受け取るべきか迷う。
「ベル、君は俺のこと何だと思ってるの」
じっーと訝しげな視線を寄越すベルに、そう尋ねたルキは、
「金払いのいい残念なイケメン」
「いらないんだな」
いらないならシュレッダー行きだなと1枚で軽くベルの食費3ヶ月分はするプラチナチケットをあっさり捨てようとする。
「うわぁ、嘘うそ、いります。行きます! 行きたいです!!」
捨てないでっとベルは慌ててルキの手からチケットを奪い取る。
最初から素直にそうすればいいのに、とため息をついたルキは、
「普段、世話になってるから。これでも感謝してるんだよ」
ふいっとそっぽを向いて、照れたようにそう言った。
そんなルキをびっくりしたように目を大きくして見たベルは、
「ふふ、じゃあ楽しみにしてます」
優しい色をしたアクアマリンの瞳を瞬かせてそう言った。
「で、ベル。ものすごく気になること聞いていい? 君は一体何をしているんだろうか?」
久しぶりに言われたなそのセリフと思いながら、
「あれ? 知りませんでした? 家庭菜園はじめました♡」
と手に持っているハサミとカゴを見せてそう言った。
「他人ん家の庭で何勝手に第一次産業はじめてくれてんの!?」
見に行ったけどあれは家庭菜園の規模じゃねぇよ! とルキは全力でツッコミを入れた。
「いや、だって庭無駄に広いし、相談したらノリノリで」
「ベル、準備できたわ。って、お兄様何してますの?」
「それはこっちのセリフなんだけど、シル」
ベルの部屋にひょこっと顔を覗かせたシルに驚いたルキは、
「私はこれからベルと一緒にお野菜の収穫をするの」
「はっ? シルまで巻き込んでんの?」
「YES! 我らが農場のスポンサーです」
やっぱり家庭菜園じゃなくて農場じゃん! とどう見ても家庭で消費できる量じゃないあの野菜をどうする気なんだとルキは額を押さえる。
「えっ? お兄様本当に気づいてなかったんですか? 先日の夕食も私が栽培したお野菜使いましたのに」
こんなにわりと盛大に庭いじりしてるのに、本当に気づかなかったの? とてっきり黙認されているものだと思っていたシルヴィアは素直に驚く。
「あらあら〜ひどいお兄ちゃんですねぇ。というわけで、シル様が丹精込めてお兄ちゃんのために作ったお野菜なんですからちゃんと食べてくださいよ〜」
まぁ実際育てているのは使用人とベルなのだが、"シルヴィアが"を前面に出されては流石のルキも無下にはできまいというシルヴィアへの食育とルキの野菜嫌い克服に向けた作戦だ。