結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「それにしても相手、よくこのプレゼンで承諾したな」
相手は確か女嫌いで有名だろ? とプレゼン資料をめくりながら伯爵は感想を口にする。
「弱味に付け込みました」
そこはもう抜かりなくとぐっと親指を立てるベルに、ああそうと伯爵はやる気ない返事をする。もはやツッコむ気も起きない。
「チャンスは積極的に拾っていくスタンスなんで」
だって、公爵家のネームバリューと上流階級のお嬢様方との繋がりは欲しいんだもんと悪びれることなくそう言うベルの逞しさは誰に似たんだろうかと、遠い目をしながらチラッと隣を見た伯爵はニコニコ笑うベロニカを見ながら確実にベロニカの影響だなと結論づけた。
「ふふ、伯爵。やらせてあげたら良いじゃないですか。ベルさんなら大丈夫ですよ。どこに出しても恥ずかしくない、私たちの大事な妹じゃないですか」
話がまとまったらしいと察したベロニカはそう言ってベルの頭を撫でる。
「……お義姉様」
ベルは好きぃーっとベロニカに抱きつくと、
「あ、そんなわけで私明日から公爵家に住みます。お仕事は今まで通り出勤しますのでよろしくです」
と決定事項を2人に報告した。
「まぁ、急展開ですね」
「もともとそろそろ私、家を出ようと思ってたし」
「はぁ? なんで、そんな急に」
学校を出てから先ずっと実家住まいで会社の仕事についていたベルが出て行くとしたら、きっと嫁に行く時だろうと伯爵はそう思っていた。だが、ベルはそうではなかったらしい。
ベルはいらずらっぽくニヤニヤ笑って兄の顔を見て、
「だって、私がいつまでもウチにいたらお義姉様とお兄様イチャイチャできないでしょ? 妹としてはそろそろ可愛い甥っ子か姪っ子を構い倒して可愛い服着せたいの」
揶揄うようにそう言った。
「バッカ」
「そうですよ、ベルさん。ベルさんが居ようが居まいが私はいつでも伯爵に絡みますし、いつでもイチャつきます」
「ベロニカも何の宣言してんのかな!?」
伯爵の腕に絡みついて、伯爵は生涯私にだけ振り回されてればいいんですよとベロニカは笑って応戦する。
「まぁ、甥姪に関しては私ひとりではどうにもできないので、ちょうど折良く本日私が夕食当番なので伯爵のごはんに何かそれっぽく盛っておきますので期待してください」
「やめてくれる? マジで」
伯爵の訴えをまるっとスルーしたベロニカは、ベルの前に立つとお姉さんらしく微笑み、
「なので、ベルさんが気にすることはないのです。ベルさんがいたいならいつまででもここにいていいですし、ベルさんが行きたいなら止めません。でも、ココはベルさんのお家で、私も伯爵もいつでもベルさんの味方で、いつだってここに帰ってきていいんだって、覚えておいてくださいね」
と優しい口調でそう言った。
「……お義姉様」
ベルがうるっと目を潤ませたところで、
「さぁ、根こそぎ公爵家のコネクションを奪い尽くすのです!」
目指せ業界最大手! とベロニカはとても楽しそうにベルにエールを送る。
「ええ! もちろんです」
ガッツリ稼ぐぞーとベルは両手を上げて宣言する。
とても婚約して出ていく人間のセリフじゃないのだが、2人とも楽しそうなので伯爵はツッコむのをやめた。
この2人本当に仲いいなと思いつつ、やっぱり妹の教育間違ったなと諦めた伯爵は公爵家の方角に合掌して、あとは頼んだとベルの婚約者(仮)に丸投げた。
相手は確か女嫌いで有名だろ? とプレゼン資料をめくりながら伯爵は感想を口にする。
「弱味に付け込みました」
そこはもう抜かりなくとぐっと親指を立てるベルに、ああそうと伯爵はやる気ない返事をする。もはやツッコむ気も起きない。
「チャンスは積極的に拾っていくスタンスなんで」
だって、公爵家のネームバリューと上流階級のお嬢様方との繋がりは欲しいんだもんと悪びれることなくそう言うベルの逞しさは誰に似たんだろうかと、遠い目をしながらチラッと隣を見た伯爵はニコニコ笑うベロニカを見ながら確実にベロニカの影響だなと結論づけた。
「ふふ、伯爵。やらせてあげたら良いじゃないですか。ベルさんなら大丈夫ですよ。どこに出しても恥ずかしくない、私たちの大事な妹じゃないですか」
話がまとまったらしいと察したベロニカはそう言ってベルの頭を撫でる。
「……お義姉様」
ベルは好きぃーっとベロニカに抱きつくと、
「あ、そんなわけで私明日から公爵家に住みます。お仕事は今まで通り出勤しますのでよろしくです」
と決定事項を2人に報告した。
「まぁ、急展開ですね」
「もともとそろそろ私、家を出ようと思ってたし」
「はぁ? なんで、そんな急に」
学校を出てから先ずっと実家住まいで会社の仕事についていたベルが出て行くとしたら、きっと嫁に行く時だろうと伯爵はそう思っていた。だが、ベルはそうではなかったらしい。
ベルはいらずらっぽくニヤニヤ笑って兄の顔を見て、
「だって、私がいつまでもウチにいたらお義姉様とお兄様イチャイチャできないでしょ? 妹としてはそろそろ可愛い甥っ子か姪っ子を構い倒して可愛い服着せたいの」
揶揄うようにそう言った。
「バッカ」
「そうですよ、ベルさん。ベルさんが居ようが居まいが私はいつでも伯爵に絡みますし、いつでもイチャつきます」
「ベロニカも何の宣言してんのかな!?」
伯爵の腕に絡みついて、伯爵は生涯私にだけ振り回されてればいいんですよとベロニカは笑って応戦する。
「まぁ、甥姪に関しては私ひとりではどうにもできないので、ちょうど折良く本日私が夕食当番なので伯爵のごはんに何かそれっぽく盛っておきますので期待してください」
「やめてくれる? マジで」
伯爵の訴えをまるっとスルーしたベロニカは、ベルの前に立つとお姉さんらしく微笑み、
「なので、ベルさんが気にすることはないのです。ベルさんがいたいならいつまででもここにいていいですし、ベルさんが行きたいなら止めません。でも、ココはベルさんのお家で、私も伯爵もいつでもベルさんの味方で、いつだってここに帰ってきていいんだって、覚えておいてくださいね」
と優しい口調でそう言った。
「……お義姉様」
ベルがうるっと目を潤ませたところで、
「さぁ、根こそぎ公爵家のコネクションを奪い尽くすのです!」
目指せ業界最大手! とベロニカはとても楽しそうにベルにエールを送る。
「ええ! もちろんです」
ガッツリ稼ぐぞーとベルは両手を上げて宣言する。
とても婚約して出ていく人間のセリフじゃないのだが、2人とも楽しそうなので伯爵はツッコむのをやめた。
この2人本当に仲いいなと思いつつ、やっぱり妹の教育間違ったなと諦めた伯爵は公爵家の方角に合掌して、あとは頼んだとベルの婚約者(仮)に丸投げた。