結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
コンコンっと軽くノックをして、ベルは声をかける。
すぐさまドアを開けたルキは驚いたような表情で、
「ベルがこんな時間に訪ねてくるなんて、一体どうしたの?」
と尋ねる。
「少し、お話いいですか?」
「構わない……が、その荷物何?」
ルキはベルが旅行にでも行くのかと思うくらいパンパンに詰めた黒いバッグを指して尋ねる。
「んー何が必要なのか分からないからありったけ」
ふふっとベルのアクアマリンの瞳が笑う。
「部屋に入ってもいいですか? それとも外や別の部屋がいいですか?」
ライブラリールームとか応接室とか? とベルは入室前にルキの意向を確認する。
「部屋で大丈夫だよ。ベルの事は信用してる」
ルキは身体を退けて、ベルを部屋に招いた。
「えーと、ベル。コレは何かな?」
お邪魔しまーすと部屋に入ったベルは、持参したバッグの中から沢山の道具を広げ始める。
「簡易コンロとケトル。とりあえずカモミールミルクティー作ろうかなって」
座っててください、とルキをソファーに座らせベルは手際よく準備を整える。
お湯が沸くまでの間にゆっくりしたテンポの音楽を流したり、室温や湿度をチェックしたりするベルを見て、
「ベル、本当に何しに来たの?」
ルキは静かに尋ねる。
「んールキ様が眠れてないみたいだから、お節介なの承知で要らない世話を焼きにきました」
ベルはそう言ってルキの前にカモミールミルクティーを差し出した。
「ルキ様って、隠し事下手ですよね」
驚いたように目を丸くしたルキに、
「とりあえずまぁまずはリラックスして、気が向いたらぶっちゃけ大会でもしませんか?」
私、口は硬い方ですよ? とベルは落ち着いた声でそう言った。
「ベル、コレ超気持ちいい」
「でしょ〜仕事上がりのホットアイマスクはマストですよね」
とりあえず片っ端からやりましょうっとカモミールミルクティーを飲まされた後、ルキはベッドに連行され、ホットアイマスクを乗せられた。
「これなんの匂い?」
アロマポット焚きますねーと声がかかり、ふわっといい香りが鼻腔をくすぐる。
「ラベンダーです。とりあえずリラックス効果ありそうなの片っ端から持って来てみました」
苦手なら別の種類もありますよと言ったベルにこのままで大丈夫と告げる。
「これもベルの自作?」
「残念ながら既製品です。カモミールもラベンダーも時期じゃないので」
もう時期過ぎちゃいましたから、やるなら来年ですねとベルは笑う。
「……そ……っか」
来年、と聞いてルキの声のトーンが落ちる。ベルはルキの側の椅子に座ると、
「ハンドマッサージしてもいいですか? これも結構リラックスできます」
手に触れていいかを尋ねる。ルキから了承を取ってからベルは彼の手をそっとホットタオルで包んだ。
すぐさまドアを開けたルキは驚いたような表情で、
「ベルがこんな時間に訪ねてくるなんて、一体どうしたの?」
と尋ねる。
「少し、お話いいですか?」
「構わない……が、その荷物何?」
ルキはベルが旅行にでも行くのかと思うくらいパンパンに詰めた黒いバッグを指して尋ねる。
「んー何が必要なのか分からないからありったけ」
ふふっとベルのアクアマリンの瞳が笑う。
「部屋に入ってもいいですか? それとも外や別の部屋がいいですか?」
ライブラリールームとか応接室とか? とベルは入室前にルキの意向を確認する。
「部屋で大丈夫だよ。ベルの事は信用してる」
ルキは身体を退けて、ベルを部屋に招いた。
「えーと、ベル。コレは何かな?」
お邪魔しまーすと部屋に入ったベルは、持参したバッグの中から沢山の道具を広げ始める。
「簡易コンロとケトル。とりあえずカモミールミルクティー作ろうかなって」
座っててください、とルキをソファーに座らせベルは手際よく準備を整える。
お湯が沸くまでの間にゆっくりしたテンポの音楽を流したり、室温や湿度をチェックしたりするベルを見て、
「ベル、本当に何しに来たの?」
ルキは静かに尋ねる。
「んールキ様が眠れてないみたいだから、お節介なの承知で要らない世話を焼きにきました」
ベルはそう言ってルキの前にカモミールミルクティーを差し出した。
「ルキ様って、隠し事下手ですよね」
驚いたように目を丸くしたルキに、
「とりあえずまぁまずはリラックスして、気が向いたらぶっちゃけ大会でもしませんか?」
私、口は硬い方ですよ? とベルは落ち着いた声でそう言った。
「ベル、コレ超気持ちいい」
「でしょ〜仕事上がりのホットアイマスクはマストですよね」
とりあえず片っ端からやりましょうっとカモミールミルクティーを飲まされた後、ルキはベッドに連行され、ホットアイマスクを乗せられた。
「これなんの匂い?」
アロマポット焚きますねーと声がかかり、ふわっといい香りが鼻腔をくすぐる。
「ラベンダーです。とりあえずリラックス効果ありそうなの片っ端から持って来てみました」
苦手なら別の種類もありますよと言ったベルにこのままで大丈夫と告げる。
「これもベルの自作?」
「残念ながら既製品です。カモミールもラベンダーも時期じゃないので」
もう時期過ぎちゃいましたから、やるなら来年ですねとベルは笑う。
「……そ……っか」
来年、と聞いてルキの声のトーンが落ちる。ベルはルキの側の椅子に座ると、
「ハンドマッサージしてもいいですか? これも結構リラックスできます」
手に触れていいかを尋ねる。ルキから了承を取ってからベルは彼の手をそっとホットタオルで包んだ。