侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
 しかし、親切で面倒見がよくて専門的なことだけでなく様々な話題にことかかないノーマンは、わたしにとって刺激的だった。彼は、ある意味で憧れだった。

 気がついたら、彼に毎日会っていっしょにジョギングをし、ジョギングの後にはマッサージをしてもらいながらジョギングの話をして同じときをすごした。

 いつしか、そのときに夢中になっていた。

 その間、アールは近くの柵にくくりつけられて怒っているようだった。

 アールは、もう何十回もノーマンに会っているというのに彼に気を許そうとはしない。それどころか、ノーマンが近づこうとするとうなり声を上げ始める。

 不思議なことだけど、アールは王立公園で会う他の人々にはそんなことはいっさいしない。尻尾を振り、他の可愛らしいワンちゃんのように振る舞
っている。
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