侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
瞼を開けると、大きなクッションの上で丸くなっていた。
見慣れた部屋。
ダウリング侯爵邸の自室である。
そっと周りを見渡すと、どうやら床の上のクッションの上で眠っていたみたい。
このクッションは、侯爵のにおいがする。柑橘類の香水のにおいである。いつものわたしだったら、この彼のをさわやかだと感じたはず。だけど、いまはアールになっているから物凄くきつく感じられる。
侯爵が寝台のすぐ横に椅子を置いて座っている。
寝台をのぞきこむその表情は、憔悴しきっている。
ドキリとした。
そんな憔悴しきった表情もまた、初めて見てしまった。
同時に、彼が寝台をのぞきこんで見つめているのがだれかを察したことに対してもドキリとした。
クッションの上でそっと立ち上がってみた。
見慣れた部屋。
ダウリング侯爵邸の自室である。
そっと周りを見渡すと、どうやら床の上のクッションの上で眠っていたみたい。
このクッションは、侯爵のにおいがする。柑橘類の香水のにおいである。いつものわたしだったら、この彼のをさわやかだと感じたはず。だけど、いまはアールになっているから物凄くきつく感じられる。
侯爵が寝台のすぐ横に椅子を置いて座っている。
寝台をのぞきこむその表情は、憔悴しきっている。
ドキリとした。
そんな憔悴しきった表情もまた、初めて見てしまった。
同時に、彼が寝台をのぞきこんで見つめているのがだれかを察したことに対してもドキリとした。
クッションの上でそっと立ち上がってみた。