婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
皇輝に連れて来られたのは、ある高級ホテルの中に入っているレンタルドレスショップだった。
「天王寺様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
皇輝を見るなり、深々とお辞儀する店員さんたち。
私はわけがわからず固まっている。
「妻のコーディネートを頼む」
「かしこまりました。かわいらしい奥様ですね」
「はいっ!?」
「では奥様、こちらへご案内致します」
言われるがまま連れて行かれた場所には、軽く百は超えているであろう様々なドレスが並んでいる。
ここから私の怒涛の試着会が始まった。
「こちらのピンク色のドレスはいかがでしょう?ふわっと広がったフレアスカートが愛らしさを引き立たせてくれます」
「いいな」
「ブルーのドレスも素敵ですよ。細身のAラインで奥様のスタイルの良さが際立ちますね!」
「これもいい」
「こちらの白もシンプルなデザインですが、お背中が開いておりましてとてもセクシーです」
「ほう…どれも似合うな」
ほぼ着せ替え人形状態の私を見ては、満足そうに頷く皇輝。
「あら?お背中に虫刺されでしょうか?」
「えっ」
言われてまじまじ鏡を見ると、開いた背中に赤い虫刺されのような痕がある。
こんなところ刺されたっけ?
いや違う、これは――
「すみませんっ!露出が少ないドレスはありますか!?」
「えっ?少々お待ちくださいませ」