婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
皇輝ってこんなにカッコよかったんだ、と改めて認識する。
スーツ姿で決めているからなのか、それともこれが恋の欲目ってやつ……?
「そんなに見惚れるなよ」
「ちっ違うから!!てか結局どこに行くの?」
「よくあるちょっとしたパーティー」
そのまま同じホテルの中のパーティー会場に着いたかと思うと、「ちょっとした」の意味がわからない宝石箱のような世界が広がっていた。
ドラマで見たことがあるような、セレブたちのパーティーに思わず面食らってしまう。
これ、私は場違いなのでは――…?
「何緊張してんだよ」
「だって……」
「堂々としてろ。俺の妻なんだから」
「っ!」
両親への報告と本当の入籍はBプロが落ち着いてからにしよう、ということになったから実際は婚約中なんだけど。
表向きはもう妻なんだよね――……。
「これはこれは天王寺社長!お会いできて光栄です!」
仕事関係者と思われる人たちが、あっという間に皇輝を取り囲む。
私は離れていた方がいいかな、と思ったけどガッシリ掴まれて離れられない。
それを見て、一人の男性がチラリと私を見ながら控えめに尋ねた。
「あの、天王寺社長。そちらの美しい女性は……?」
「こちら、私の妻です」
柔和な笑顔を浮かべながら、私の腰を抱いて引き寄せる皇輝。
すごく照れ臭いけど、はっきり妻と紹介してくれたことが嬉しい……。