婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


皇輝ってこんなにカッコよかったんだ、と改めて認識する。

スーツ姿で決めているからなのか、それともこれが恋の欲目ってやつ……?


「そんなに見惚れるなよ」

「ちっ違うから!!てか結局どこに行くの?」

「よくあるちょっとしたパーティー」


そのまま同じホテルの中のパーティー会場に着いたかと思うと、「ちょっとした」の意味がわからない宝石箱のような世界が広がっていた。

ドラマで見たことがあるような、セレブたちのパーティーに思わず面食らってしまう。

これ、私は場違いなのでは――…?


「何緊張してんだよ」

「だって……」

「堂々としてろ。俺の妻なんだから」

「っ!」


両親への報告と本当の入籍はBプロが落ち着いてからにしよう、ということになったから実際は婚約中なんだけど。

表向きはもう妻なんだよね――……。


「これはこれは天王寺社長!お会いできて光栄です!」


仕事関係者と思われる人たちが、あっという間に皇輝を取り囲む。

私は離れていた方がいいかな、と思ったけどガッシリ掴まれて離れられない。

それを見て、一人の男性がチラリと私を見ながら控えめに尋ねた。


「あの、天王寺社長。そちらの美しい女性は……?」

「こちら、私の妻です」


柔和な笑顔を浮かべながら、私の腰を抱いて引き寄せる皇輝。

すごく照れ臭いけど、はっきり妻と紹介してくれたことが嬉しい……。


< 103 / 186 >

この作品をシェア

pagetop