婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
――なんて浸ってる場合じゃないな!
慌てて頭を下げて挨拶した。
「初めまして、天王寺妃乃と申します…!
お、夫がお世話になっております」
「天王寺社長がご結婚されていたとは……」
「そうなんですよ。新婚なんです」
そう言って皇輝はニコニコしながら、結婚指輪を見せびらかす。
「そ、それはおめでとうございます。
天王寺社長がお選びになったということは、さぞ良家のお嬢様なのでしょうな」
「妻の詮索はやめてください。
生涯愛し抜くと決めた最高のパートナーとだけ言っておきましょう」
「……!!」
ちょっと皇輝ってば……!!
人前でなんてことを……!!
「ああ、それから何か広告のご入用があればチェスター株式会社を是非よろしくお願いします」
最後に会社の宣伝も忘れずにして、その場を失礼した。
私もぺこっとお辞儀をして皇輝を追いかけた。
その他にもたくさんの人と挨拶させてもらった。
外人の方に話しかけられることもあったけど、皇輝はネイティブな英語で丁寧に対応していた。
誰に対しても私のことは妻と紹介してくれた。
それがとても嬉しかったけど、英語の場合は何となくしか会話がわからないし、私に話しかけられた場合は皇輝が通訳してくれて何となく申し訳ないなと思った。
私も英語の勉強しようかな……。