婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
時折向けられる皇輝の視線が、優しくて心から愛おしいものを見つめているようで、やっぱりどうしていいかわからなくなる。
まだ正式に結婚してないのに、もう蜜月みたいな空気だ。
正直言って全然嫌じゃないし、むしろものすごく嬉しいんだよ?
ただ、少ない恋愛経験だけど、こんな風にストレートに愛情表現してくれる人は今までいなかった。
しかもそれが義理の弟だという!!
誰かわかってこの気持ち!!
嬉しいけど、戸惑いも大きいの!!
もう既にお腹いっぱいだよ……。
「てゆーか、親に報告する前に言いふらしてよかったの?」
「いいんだよ。あのジイさんたち、隙あらば自分の娘と結婚させようとしてたんだからな」
「そうだったの?」
「天王寺に群がるうるさいハエだよ」
「大変なんだね、天王寺の御曹司も」
「一応妃乃も天王寺のお嬢なんだけどな…」
「あ、そっか」
私は連れ子だからなぁ。お嬢様って柄でもないしね。
「妃乃のそういうところも好きだけど」
「そ、そういうところって?」
「庶民派なところ?」
「それ褒めてるの?」
「褒めてんじゃね?」
「テキトーじゃん!」
「あははっ!」
楽しそうに笑う皇輝の笑顔がものすごくかわいくて、キュンとしたから許すことにした。
やっぱり私、皇輝のことが好きだな。
まだまだ戸惑うこともたくさんあるけど、これからこの恋を育んでいきたい。
多分私にとって最後の恋になると思うから――。