婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
11.ライバルは元カレ
会社では上司と部下として、真剣に仕事に取り組み、家に帰ると夫婦として甘やかされて愛されまくる。
まだ皇輝の甘さに慣れなくてぎこちないところもあるけど、今が一番幸せだと思う。
今では婚約破棄されてよかったとすら思えてしまう程に。
だけど、何もかもが上手くいっているわけではなかった。
「ええっ!シエロのコンペダメだったんですか!?」
皇輝が新たに獲得したシエロジャパンの大型案件。
Bプロとは別チームで動き、私は意見出しとかアドバイスといった立ち位置でお手伝いさせてもらっていたんだけど、そのコンペは勝ち取れなかったらしい。
シエロチームのリーダー、斎藤さんは私より3歳上で新卒で入社した男性社員だ。
斎藤さんはかなり気落ちしていた。
「せっかく大型案件を任せてもらえて張り切って頑張ったんだけど、ダメだった」
「そんな!私も見せていただきましたが、すごく良い企画だったと思いますよ!」
「でも、向こうは検討候補に入れてもいいってくらいのスタンスだったようだ。
コンペは昔から取引のある博誠堂が勝ち取ったよ」
「そうですか……」
博誠堂は業界最大手の広告代理店だ。
つまり元々出来レースだったのかもしれない。
皇輝が天王寺グループの御曹司だから、チェスターが天王寺グループの傘下だからコンペへの参加は承諾してくれたけど、最初から任せるのは博誠堂だったのかもしれないな。