婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


皇輝はとてもイライラしている。

天王寺というネームバリューは良い意味でも、悪い意味でも働くんだな。

今回の件は皇輝にとってもすごく悔しかったと思う。
皇輝はこう見えてとても努力家だから。

天王寺グループ御曹司という肩書きは、私が思っている以上に大きくて重いものだと思う。


「私はいつもひたむきに努力してる皇輝が好きだよ」


恐らく皇輝は今まで、様々な期待やプレッシャーと戦ってきたんだ。
その肩書きを時には有効的に使い、時には甘んじることなく努力して向き合う皇輝がとてもカッコイイと思う。


「でも、いつも私にも言ってるじゃない。
あんまり詰めすぎないようにね」

「妃乃」

「なんて、私もこの時間まで残業してたから人のこと言えないんだけどね。
待ってるから、一緒に帰ろう」


そう言ってニコッと微笑んだ。

すると皇輝が何やら手招きするので、近づいてみたら。


「うわっ」


グイッと引っ張られて何故かハグされた。


「ちょっと充電させて」

「ここ会社だよ?しかも社長室で…!」

「ちょっとだけだから」


なんて言いながら、ぎゅうっと腰に回す手を強めたり、私に頬ずりしてきたり。

もう!誰かに見られたらどうするのよ……!


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