婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


スーツをビシッと着こなして、すっかり大人の男といった雰囲気だ。

身長も高いな。
皇輝とどっちが高いだろう?

いやいやそんなことより、博誠堂って言ったよね?


「もしかして、斎藤さんの言ってたやり手クリエイターって、岸くんのこと……?」


もしそうなら、強力なライバルってことになるけど――。


「き、気になる……!!」


私はもらった名刺を見た。
電話番号も書かれている。

これは元カレに連絡するわけじゃない、敵情視察だから!とよくわからない言い訳をして、ショートメッセージを入れてみた。


「中村です。
さっきは突然でびっくりしました。
名刺ありがとうございます」


うーん、堅苦しいかな?
まあいいか、とりあえず様子見ということで。

その後会社に戻り、思わぬハプニングでてんてこ舞いになり、スマホを見る余裕もなかった。

むしろ岸くんに会ってメッセージを入れたことを忘れてしまったくらい。
大変だったけど何とか落ち着いて、会社を出たのが19時頃だった。


「――中村!」

「え……、岸くん!?」


なんと会社を出たら、目の前には岸くんがいた!

えっどうして!?なんでうちの会社の前に!?


「メッセージありがとう。その後返事なかったから、悪いと思ったけど来ちゃった……」


< 114 / 186 >

この作品をシェア

pagetop