婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
岸くんは申し訳なさそうに頬をポリポリかく。
言われてスマホを確認したら、確かに返信がきていた。
「ごめんなさい!ちょっとバタバタしてて、全然スマホ見れなくて」
「いや、いいんだ。ごめんね、チェスターって言ってたから気になってさ。
中村もベリーズランドの20周年PRコンペに出るのかなって」
「そうなの!岸くんも?」
「うん、そうだよ」
やっぱりか……!!
「じゃあ、シエロジャパンのコンペ勝ち取ったやり手って岸くんのことだったんだ!」
「えっそんな風に言われてるの!?
違うよ、あれは前任者が産休に入るから引き継いだだけだから」
「それでもすごいよ。ベリーズランドの担当もしてるなんて」
「それ言うなら中村もじゃない?あの鋼の女王と言われる阿僧さんを落とした担当者がいるって、博誠堂でも話題だよ」
阿僧さん、そんな風に言われてるんだ……。
でもちょっとわかるな。
「そっか、でもまさか中村がライバルとはね」
「私も驚いた」
「手強そうだなぁ」
「それそっくりそのまま返すから!」
こんな風に笑い合っていると、高校時代を思い出した。
付き合う前、友達だった頃はよくこうやって話して笑い合っていたな。
付き合って別れてからは、何となく気まずいまま卒業しちゃったけど――。