婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
12.誰にも譲らない side.皇輝
玄関に入り、まだ靴も脱がないまま妃乃を壁に押し付けて唇を塞いだ。
「んん……っ」
いつも以上に荒々しく口をこじ開け、猛り狂った舌を執拗に動かし、妃乃の口内を犯す。
苦しそうにバンバンと俺の胸を叩く妃乃を無視し、何度も唇を貪った。
「……っ、や……っ」
嫌だ、と身を捩らせて振り解こうとする度に、むしろもっと熱くなって絶対に離すまい、とより深く口付ける。
するりと妃乃の服の中に手を差し込み、胸の膨らみに触れた。
唇を少しずつ下に這わせ、服の裾をたくし上げて露わになった胸元にも口付ける。
「やだ…ってば……!!」
強く胸元を押され、靴を履いたまま乱れた姿の妃乃が目に映った。
その姿を見て、やっと少し冷静さを取り戻す。
「何なのよ急に……」
「……なんで、あいつといたんだ?」
先に言うべき言葉ではないのはわかっていたが、ついこぼれ出てしまっていた。
「あいつって、岸くんのこと?」
「そいつ……」
妃乃を旧姓で呼ぶあの男。
あいつが妃乃と話しているのを見た瞬間、激しい嫉妬心が込み上げて気づいたら妃乃を攫っていた。
あいつは妃乃が高校の時に付き合って、すぐに別れた男だった。