婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


そんなことを考えるくらい、私の思考は停止していた。

就活しなきゃいけないのはわかってる。
でも、もう少しニートでいさせて欲しい。


「……っ」


だって、未だにふとした時に涙が溢れる。
涙は枯らしたと思っていたのに、全然ダメ……。

その時、スマホが鳴った。
相手はお母さんだ。


「……はい」

「妃乃?大丈夫?元気なの?」

「元気かなぁ…生きてはいるけど」

「妃乃、一回こっちに帰って来なさい。お父さんも心配してるんだから」

「……」

「てゆーか、もう妃乃を一人にしておけないってお父さん、明日迎えに行くって聞かないの。
お母さんもその方がいいと思うから…ね?帰っておいで」


両親の優しさが身に沁みる。涙声になりながら、「わかった」と答えた。


「あとね、明日の夜お父さんの会社のレセプションパーティーがあるの。
妃乃も行かない?」

「パーティーなんて、そんな気分じゃ…」

「お父さんがドレス買ってくれるって!気持ちはわかるけど妃乃、ちょっとした気分転換になるかもしれないよ。ねっ」

「……、わかった」

「そう!よかった!」


正直全く気乗りはしないけど、お母さんが何とか元気づけようとしてくれてるのはわかるし、お父さんにも心配かけたくない。

このままヒキニート続けるわけにもいかないし、一旦実家に帰って気持ちをリフレッシュさせた方がいいよね……。


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