婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


「もしもしっ」

「このアホが!!何してんだバカ息子!!」


耳をつんざく大声が通話口から轟き、思わずボリュームを下げた。
多分意味はないだろうと思いながら。


「親父!?」

「皇輝お前何してくれてるんだ!!
勝手に妃乃ちゃんと結婚してると言いふらしてるそうだな!」

「あ?それが何だよ。そう言っただろ」

「話が違うわ!あくまで妃乃ちゃんの心が落ち着くまでだろう!!
あんな公の場で宣言しよって、私のところに毎日お祝いが届いてるぞ!!」


そういえばそんなこと言ったかもしれねぇな。

チッ、めんどくせぇ。


「俺、妃乃と結婚する」

「何!?」

「親父と母さんには落ち着いたら報告するつもりだったんだよ」

「アホか!お前たちは姉弟だぞ!?」

「それが何だよ。血は繋がってないんだから問題ねぇだろ」


もう俺たちも大人なんだから、反対される謂れはないと思っていた。

だが、甘かった。


「お前が妃乃ちゃんとだと!?バカを言うな!
妃乃ちゃんのことを幸せにできると言うのか!?」

「できる!俺はずっと妃乃が好きだったんだ。
親父たちの手前ずっと黙ってたけど、本当はずっと妃乃が好きだった!」

「なんだと……」


親父はスマホの向こう側で絶句していた。


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