婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
クッソ、なんで父親にこんなこと暴露しなきゃいけないんだ……。
まあぶっちゃけ、俺も悪いんだが。
あのパーティーで妃乃を妻と紹介したのは、外堀から埋めたかったからだ。
妃乃を俺の妻だと公表してしまえば、たとえ親父が反対しても外聞の悪さから認めざるを得ないと思った。
実は違いました、なんて聞こえが悪い。
だが、親父の娘バカっぷりを舐めていた。
「そんなもの、私が許すと思っているのか!?
妃乃ちゃんは絶対嫁には出さん!!」
「まだそんなこと言ってるのかよ!」
「嫁に出すなら、私が選ぶ。私が認めた男なら許す」
「じゃあ今すぐ認めろよ!!」
「シエロのコンペも勝てない青二才に妃乃ちゃんは渡さん!」
このクソ親父……っ!!
実の息子が娘と結婚するって言ってんのに、何が気に食わねえんだ!!
実質嫁に出してねぇだろう!?
「皇輝、どうしても妃乃ちゃんと結婚したいなら、ベリーズランドプロジェクトは絶対に成功させろ」
「っ!」
「そしてチェスターの業績を上げてみろ。
それができたら社長としても、妃乃ちゃんとの結婚も認めてやる」
「わかったよ。絶対に成功させてやる」
「それまで妃乃ちゃんには手出すなよ?」
「……、わかった」
「お前っ、今まが」
皆まで聞かずに通話を切った。
親父の娘バカにはほとほと呆れる。