婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
――てゆーか、本当に仕事なんだよね!?
まさかと思うけど、浮気なんじゃ……?
いやいや、まさか!!
違う違う!!
皇輝に限ってそんなこと……!!
だって皇輝が私を傷つけるようなこと、するはずがない。
違うよね?
本当に仕事なんだよね――…?
「……早く帰ってきてよ、ばか」
早く帰って来て。
早く抱きしめてよ。
もう一人で寝るのが寂しくて仕方ないんだから。
愛されてるって全身で感じさせて――。
* * *
その夜はあまり寝られなくて、朝起きた時の顔の酷さはいつも以上にヤバかった。
だから顔を直すのに時間がかかり、いつもより出社が遅い時間に――
「おはようございまーす」
「あっ!!リーダー!!大変です!!」
「えっ?」
「この前決めた企画のデータ、全部消えちゃいました…!!」
「えええ!?」
部下からの衝撃発言で鬱な気持ちは一瞬で消し飛ぶ。
「どういうこと!?」
「わ、私のせいなんです……!!」
そう叫んだのはチームで一番若い新卒の相田さん。
ボロボロと大粒の涙を溢し、泣きじゃくりながら必死に説明する。
「昨日、ビルの全館停電日でPCの電源抜いて帰らなきゃいけなかったのに…っ、わたし抜き忘れて帰ってしまって……っ!!」
「でも、それなら他のPCにデータは残ってるんじゃないの?」