婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
トラブルの最中にきたメールは、更に私たちを追い詰めるものだった。
「ええっ!?コンペの一次選考実施のお知らせ……!?」
「20周年PRのコンペは慎重に決めたいから、何回か選考を行いたいと……」
「しかも〆切明日中!?なんで今日言うの!?」
「どうします、リーダー?」
「……。」
なんでこんな時に……。
データさえ復旧できれば、それを進めたら全然間に合う。
でもできないとなると一から作り直す……間に合うの?
いや、やるしかない。
「相田さんはもう一度資料作成して!山田くん、沢井さんフォローお願い!」
「はい!」
「矢野くん、情報システム部に問い合わせてみてくれる?何とかデータ復旧できないか」
「わかりました」
「他のみんなは自分の仕事して!大丈夫、何とかなる!」
私は一度深呼吸して気持ちを整えた。
大丈夫、何とかなる。これは自分に言い聞かせるための言葉だ。
とりあえず、コンペの一次選考のこと、皇輝…いや社長に報告しないと。
トラブルもありましたが、滞りなく進んでおります……と。
大丈夫、大丈夫。
――本当に大丈夫だよね……?
エンターキーを押し、メールを送信した。
押した指が震えていたことに、自分でも気づいていなかった。