婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
先方に資料を提出し、後は結果を待つだけ。
一次選考を通過した企業が、最終コンペへと進む。
何とこの最終コンペには、ベリーズの社長も同席するのだそう。
当然通過するつもりで、最終コンペの準備を進める。
気を抜いている暇などない。
一応社長にも無事に提出して結果待ちの旨をメールした。
昨日の報告メールに対しては、「わかった。頑張ってくれ」という簡素な返信だった。
そして、LIMEで「何かあったらすぐに言えよ」ときていた。
わざわざ分けて返信してくるなんて。
何となく、私が焦ってたことに気づいていたような気がする。
「……下のコーヒーショップでコーヒーでも買って来ようかな」
気分転換を含めてオフィスビルの1階に入ってるコーヒーショップに行った。
新作のフラペチーノが気になったけど、まだご褒美をあげるには早いと思い、普通のコーヒーを注文する。
「……あれ」
「! 天王寺さん」
「岸くん!どうしてここに?」
オーダーを受け取って帰ろうとしていたのは、何と岸くんだった。
「このビル内で別の企業との打ち合わせがあったんだ。天王寺さんに会えるかな、と思ってたけど本当に会えた」
岸くんは和やかに微笑む。