婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
もう先に帰ろうかな…そう思っていたら、
「あら?妃乃さんじゃないですかぁ!」
なっ、どうして……?
「偶然ですね〜。どうしてパーティーに?」
どうしてあんたたちがいるの?
今この世で最も会いたくない二人。
一体どんな神経をしてるのか、悪びれた様子もなくにこやかに私に話しかける塔子ちゃんと、その隣で非常に気まずそうに私から目を逸らす歩。
何なの?なんであんたたちがここにいるの?
「塔子はパパに誘われて参加したんです!
あ、塔子のパパ、弊社の常務なんですよ〜。ご存知でしたっけ?」
……知らない。てゆーかどうでもいい。
「パパに紹介したくて、歩さんのことも誘っちゃいました!」
「あの、塔子ちゃん…」
「心配しないでくださいね?
歩さんのことも仕事も、塔子が責任持ってしっかり引き継ぎますからね!」
「……っ、」
この女は、一体何を言ってるの?
どうしてヌケヌケとそんなことが言えるの?
あんたは私から何もかも奪ったくせに、何をのうのうと過ごしてるのよ……っ!!
歩も歩だ。
このパーティーが天王寺グループのものだと、まさか知らないとでも言うの?
私の父も出席してるのに、どのツラ下げて父の前に顔を出すつもりだったの?
……私は、一体どこまで惨めな気持ちになればいいんだろう。