婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


なんでこんなことに――……。

ひとまずこのことはサブリーダーとセンター長には報告した。
もちろん社長にも。

もうすぐ皇輝、帰って来るけど――どんな顔してあえばいいのだろう。

岸くんには告白されるし……何なの?
色々ありすぎて胃が痛い。

私が何をしたっていうの?


「はあ……」


オフィスで一人頭を抱えた。
一次選考通過したことで、みんなの士気は上がっている。

なのに、これは出来レースで実はもう結果は決まってるなんて言えるわけがない。


「……っ、なんで……っ」


悔しくて涙が出た。

今まで真剣に頑張ってきたのに。

何よ、裏取引って。
正々堂々戦いなさいよ……っ!!


ふと、岸くんはこのことを知っているのだろうかと思った。
何となく彼の様子からして知らなさそう。

岸くんは高校時代から野球部で真面目に活動してたこともあり、不正には厳しい人だった。
今回の件も知ったらショックを受けそう。

てゆーか、このことに関して報告したのに、社長から一切の音沙汰がない。

何してるの?今どこにいるのよ。
肝心な時にどうして傍にいてくれないの――?


「……ダメだ、今日は帰ろう」


このままでは負のスパイラルに陥って、ドン底に沈む一方だ。
帰宅することさえ億劫で、足取りが重い。

それでも何もできることはない。
歯痒くて悔しい。


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