婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。

「あとコンペの件、返信できなくてごめんな。
この件は実は前から知ってたんだ」

「えっ！？そうなの？じゃあなんで教えてくれなかったの？」

「言えるわけないだろ、そんな余計に不安を煽ること。
これは水面下でどうにかしようと思ってたことだしな」

「水面下で、って？」

「裏取引ってやつに俺も混ぜてもらおうと思って」


皇輝はやたらといい笑顔を向ける。
詳しいことはよくわからないけど、どうやら皇輝には考えがあるみたい。


「だから妃乃たちは心配しなくて大丈夫だよ。
コンペに勝つことだけ考えてくれ」


そう言った皇輝がすごく頼もしくて、思わずキュンとしてしまった。


「他には？この際何でも聞くけど」

「聞きたいことはもう大丈夫なんだけど……」


何だか黙っているのは違うような気がして、モゴモゴしてしまう。


「話しておきたいことがあって」

「おう」

「実は岸くんに告られた」


それを聞くと、途端に表情が歪む皇輝。
すごくわかりやすく不機嫌そうな顔してる。


「あっでも断るから！」

「まだ断ってねーのかよ」

「返事する前に帰っちゃったのっ。
考えて欲しいって言われたけど、考えるまでもなかった。
私は皇輝が好きだから、もう他の人は考えられない」