婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
不安にはなったけど、それでも岸くんを選ぶという選択肢はなかった。
「もうこれが最後の恋って決めてるから」
自分で言ってて恥ずかしいな……。
普段こんなこと言う柄じゃないのに。
「……なんか言ってよ」
上目遣いでチラッと見上げたら、グイッと腕を引っ張られてそのまま立たせられる。
引っ張られるがまま連れて行かれ、あっという間にキングサイズベッドの上に寝かされていた。
この部屋に入るのは皇輝が出張に行く前以来だ。
「ちょっと待って!?ご飯の途中でしょ!?」
「先に妃乃を食う」
「何言ってんの!?」
「本当は帰ってすぐがよかったんだよ。
ずっとお預け食らってもう限界」
「ご飯冷めるでしょ!!」
「温め直せばいいだろ」
いやまあ、そうなんだけど……。
せっかく皇輝の手料理、もっとゆっくり味わいたかったのに。
なんて思ってる間に万歳させられ、服を脱がせられる。
「1週間分と不安にさせたお詫びの分な」
「〜〜っ…」
「それと、これ以上変な虫がつかないように俺のものだって刻み込まないと」
皇輝の独占欲に溢れた瞳で見下ろされるのは、嫌じゃない。
こうなったらもう逃げられないことは知ってる。
それに、私もずっとこうしていたかった。
腕を伸ばして皇輝の背中に腕を回す。
「会いたかった……」
今までの寂しさを埋めるように、私たちは抱き合って何度も求め合った。
他に何もいらない。
皇輝だけが欲しい――。
……夕飯は多分朝ご飯になるだろうな、なんて頭の片隅で思いながら、全てを皇輝に委ねた。