婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。

16.幸せのために side.皇輝



休日。朝起きたら隣で寝ていた妃乃がおらず、服を着てダイニングへ行ったらキッチンの方からガチャガチャという慌ただしい音が聞こえた。


「妃乃?」

「あっ皇輝、おはよう」


珍しく妃乃がエプロンを付けてキッチンに立っている。
というより、キッチンに立つのは引っ越してから初めてだな。


「たまには私が朝ご飯作るから!」


何やら張り切っているが、チラッと見ただけで汚れ放題、散らかり放題なのがわかる。

しかも何作ってんだこれ?


「皇輝は座ってていいよ!」

「……俺まだ死にたくないんだけど」

「どういう意味よ!!大丈夫だから!」


その直後にフライパンからボンッ!と巨大な火が上がる。


「ぎゃーーー!!」

「何してんだバカ!」


真っ黒に焦げたよくわからない物体ができあがった。


「一応聞くがなんだこれは」

「卵焼き……」


どうしたら卵焼きがこうなる?


「もう後は俺がやるから」

「ごめんなさい……」


明らかにしょげている妃乃がかわいい。
ポンと妃乃の頭を撫でる。

それにしても、なんで急に料理なんか?


「どういう風の吹き回し?」

「だって、私何もできないから。
朝も起きない、料理できない、いつもダラダラしてばかりだし、結婚するのにそれはどうなんだろうと思って……」


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