婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「……。」
「ちょっ、なんで笑うの!?」
「いや、そういうことじゃなくて…」
やばい、これはにやける。
結婚のことを考えてくれているのが嬉しいし、かわいすぎて。
思わず後ろから抱きしめた。
「えっなんで!?」
「かわいいなと思って」
「どこが?」
「俺のために作ってくれようとしたんだろ?」
「そうだよ……」
「その気持ちだけもらっとく」
「でも、私甘えすぎじゃない?」
「その分仕事頑張ってるからいいんじゃね?」
「それは皇輝もでしょ?」
「いいんだよ。俺はたまには料理もしたいって程度だし。
人には向き、不向きがあるんだし、完璧じゃなくていいじゃん」
俺にとっては、妃乃が隣にいてくれるだけで奇跡みたいなものだ。
今でも隣で寝ている姿を見て、幸せすぎて目眩がしそうになる。
ずっと叶わない恋だと思っていたから。
「妃乃はいてくれるだけでいいよ」
「やっぱり私甘やかされすぎてない?」
「妃乃はもっと甘えた方がいいと思うけど」
むうっと納得いかなさそうに唇を尖らせる妃乃がかわいくてキスをした。
すぐに離れたと思えば、今度は妃乃から口付けられ、そのまま角度を変えてもう一度。
磁石のようにくっついては反発し、またくっつく。
妃乃の体がシンクに寄りかかるのを支えながら、舌を挿し入れて唇を貪る。