婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
ジュリーは俺の後ろに隠れている妃乃を見つけると、俺を押し退けて妃乃の手を取った。
「あなたが妃乃ちゃん!?」
「あ、はい」
「ずっと会いたかったのよ〜!
皇輝の叔父のジュリアンヌ駒井でーす。ジュリーって呼んでね♡」
「じゅ、ジュリーさん……初めまして」
「叔父っていうか叔母?まあどっちでもいいわ!」
「ややこしいこと言うな」
ったく、妃乃にはちゃんと紹介しようと思ってたのに……。
ジュリーは俺の実の母親の弟に当たる。
今となっては妹なのかもしれないが。
ぶっちゃけどっちでもいい。
「いつも皇輝がお世話になってます!」
「いえ、とんでもないです」
「どう?この子。無理させてない?
何せずーっと妃乃ちゃんに恋して拗らせて…」
「帰れ!!」
ドアの向こうにグイグイと押し返す。
「何よ!今来たばっかよ!!」
「それ以上余計なこと言うな」
「あら、そんなこと言っちゃっていいのかしら?」
くそっ……。
「妃乃ちゃんとの結婚を後押ししてあげてるの誰だっけ?」
「……。」
「お邪魔しまーす!」
「あっ、おい!」
一瞬の隙を突いてズカズカ上がり込む。
だが、今の俺はジュリーに強く出れない。
結婚の後押しというのは事実だからだ。