婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
福岡出張に行った時、ジュリーから連絡があった。
ジュリーは福岡在住で、福岡を拠点にニューハーフバーをいくつも経営している。
こう見えて顔が広く、色んなところにパイプを持ったやり手の実業家だ。
どこから聞きつけたのか俺が福岡にいることを知って連絡してきたらしい。
俺は事情を話し、ジュリーに協力してもらって何人か経営者を紹介してもらった。
そこから話を繋げ、今新規事業として動き出しているところになる。
チェスターの業績回復を実現し、親父を認めさせるためなので、つまりは俺と妃乃の結婚を後押ししてくれているというわけだ。
悔しいけど。
「……というわけなんだよ」
「な、なるほど」
妃乃に説明したが、親父にバレてキレられてる件に関しては黙っておいた。
「ごめんなさい。私皇輝とジュリーさんが一緒にいるところ見て、勘違いしてしまって…」
「あらカップルに見えちゃった?やだぁ、光栄だわ〜」
「気色悪ぃ」
「何かしら皇輝クン?」
「何でもねーよ」
マジで早く帰ってくれねえかな……。
せっかく久々に二人きりの休日だったのに、邪魔しやがって。
「妃乃ちゃん、安心してね。仕事の紹介するためにアタシのお店に何度も連れて行ったし、キャバクラにも行ったけど、指輪見せびらかして妻一筋アピールしまくってたんだから」
「ちょ、おま……!」