婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
父は天下の天王寺に恥じぬ人間になれ、が口癖だった。俺の教育方針にとにかく意見してきた。
もっと伸び伸びと育てたかった母親とは教育方針が食い違い、結果仲違いして別れた。
「あのアルバムの中にあると思うけど、離婚した当時の皇輝、みんな死んじゃえって顔してるわよね」
「……。」
「実の両親が親権争って泥沼裁判だものね。皇輝も意地張っちゃって、勝った方についてくなんて言い出すもんだから、更に泥沼化してさ」
……やっぱり黒歴史もあのアルバムの中に収められてるじゃねぇか。
「お義兄さんが再婚するって聞いた時、皇輝は大丈夫なのかしらって思ってたけど…まさか義理の姉に惚れて丸くなるとは思ってなかったわ」
「うるせーな…」
「不毛な片想い続けてると思ったら、まさかの結婚だものねー。聞いた時泣きそうになっちゃったわよ!」
「妃乃に聞こえるだろ!」
「大丈夫よ、さっきからずっと真剣に読み耽ってるもの」
妃乃は俺たちの会話なんか聞こえていないらしく、ゲームしてる時と同じくらいの集中力でアルバムを見つめている。
そんなに大真面目になって見るものでもないと思うんだが……。
「じゃ、アタシは帰るわね。あのアルバム、妃乃ちゃんにあげるわ」
「なんでだよ!」
「じゃあね皇輝。しっかりやるのよ!色んな意味で♡」