婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
言いたいことだけ言って帰って行った。
まるで嵐が去ったようだ。
流石に帰ることには妃乃も気づき、慌てて見送っていた。
「もっと話したかったなぁ、ジュリーさん」
「そうか?つーかそのアルバム、もういいだろ…」
「ダメ!やっと中学生になったんだから!」
つーかどんだけ写真あるんだよ!!
いつ撮ったんだ、ジュリーの奴!!
「……皇輝、離婚してからあんまり笑ってないね」
「え?あ、まあ…そうかもな」
「やっぱり親が離婚してショックだった?」
「……。」
この話はあんまり妃乃には聞かせたくなかったけど、ものすごく心配そうに俺を見つめるから、妃乃の隣に腰掛けた。
「離婚は別にショックではなかった。毎日のように喧嘩してたし、子どもながらにこうなるだろうなって。
でも、どっちが俺を引き取るのかで相当揉めて裁判沙汰になって、それがなんつーか…俺の意思は求められてない気がしたんだよな」
一応どっちと一緒に住みたい?とは聞かれたけど。
でも、いつも俺を置いて二人で喧嘩してる両親を見てきたから、どうでも良くなって「勝った方についてく」なんて可愛げのないことを言ってしまった。
「まあつまるところ、ずっと拗ねてたんだよ。
カッコ悪くて誰にも見せたくなくて、ずっと平気なフリしてたけど」