婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「……以上が弊社のご提案内容となります。ご清聴ありがとうございました」
岸くんの話し方もすごく上手いな。
とてもわかりやすくて引き込まれる。
この後にプレゼンするの嫌だな……。
「ありがとうございました。
続きまして、チェスターさんよろしくお願いします」
「は、はいっ」
緊張で声が上擦ってしまった。恥ずかしい。
ダメだ、弱気になるな。
深呼吸、深呼吸。
前に出て、周囲を見回し皇輝と目が合った。
皇輝は無言で頷く。
私も視線だけで合図する。
大丈夫、できる。
やり遂げてみせる。
「チェスター株式会社の天王寺です。私からご提案させていただきます。
弊社がご提案させていただきますのは、それぞれのターゲットに絞った広告の作成です」
プロジェクターに映し出された資料を指し示し、適宜手元の資料と照らし合わせてもらいながら、ゆっくりと説明する。
焦ると早口になってしまうけど、なるべくわかりやすく聞き取りやすく。
「広告は煩わしいものと敬遠されがちですが、必要とする層を狙って配信すれば有益情報となり、拡散されてゆく可能性が高まります。
こちらが拡散された場合の想定エンゲージメントです。
更に再度同じ広告をリターゲティングすることにより、よりユーザーへの関心を高めます。
ベリーズランドに何度でも行きたいと思うような、後押しができると考えております」