婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「あの時はこのアトラクションに乗ったな、ここで写真を撮ったな。行く度にそれまでの思い出が甦るんです。
そのどれもが楽しくて色褪せない思い出になっていて、そしてまた新しい思い出が生まれる。
そんなところが魅力的だと思っています」
正直に言えば、楽しい思い出がそうではなくなってしまったけれど、きっといつの日かあんなこともあったな、って穏やかに思える日がくると思う。
「あとは何歳になっても楽しめることですね。
私は初めて行ったのが小学生の時で母とだったのですが、二人でとてもはしゃいだことが今でも鮮明に覚えています。
大人になってからも行きましたし、つい先日も行かせていただきました」
「そうでしたか。沢山遊んでくださっているのですねぇ。
ありがとうございます」
ベリーズの社長さんは目を細めて微笑む。
「ありがとうございました。他に質問はありますか?」
社長さんに振られ、他の方からもいくつか質問があった。
博誠堂の方にも質疑応答があり、その日のコンペは終了した。
「ちょっと向こうの社長さんにご挨拶してくるから、先にタクシー拾って帰ってくれ」
皇輝がそう囁き、わかったと言って先に帰らせてもらうことになった。
本社ビルを出た瞬間、緊張の糸が解けてドッと疲れが襲ってきた。
「あーー!!緊張した!!」