婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
思わず声に出してしまうくらい。
ペットボトルの水を一気飲みして空にしてしまうくらい、喉はカラカラだった。
「はあ……」
「天王寺さん、お疲れ様です」
背後から声をかけられたと思ったら、岸くんだった。
「あっ……!お疲れ様です」
「緊張しましたよね」
「ええ、本当に」
「僕実はお昼まだなんですよ。天王寺さんは?」
「私は軽く食べましたけど、なんか今すごくお腹減ってますね…」
「良かったら一緒にどうですか?
敵同士でおかしいかもしれませんが、ひとまずはお互いの労いということで」
「…そうですね。そうしましょう」
――岸くんには話さなきゃいけないことがある。
一応皇輝に連絡して、私たちは近くにあるパスタ屋さんに入った。
ランチタイムギリギリの時間だった。
「やっぱり博誠堂さんはすごいね。しっかりとしたプランですごく堅実的で」
「そうかな。チェスターさんこそユーザー層をしっかり分析されてるなぁって感心したよ」
幾分緊張がほぐれたからか、できたてのパスタがきた頃にはお互いタメ口になっていた。
しばらくコンペの話が続いたけど、話が一区切りついたところで――私はフォークを置いた。
「あの、岸くん。仕事じゃない話をしてもいいかな」
「うん」
岸くんも同じようにフォークを置く。
「この前の、返事なのだけれど」