【コミカライズ配信】婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
皇輝が囁いた言葉は私には聞こえなかったけど、その言葉で二人の表情が一気に青ざめたのがわかった。
塔子ちゃんは怒りも混じっているのが見てとれたけど、歩はひたすらショックを受けたように呆然としていた。
「帰ろう、妃乃」
「えっ!?」
皇輝に腕を掴まれ、そのまま強引にパーティー会場から連れて行かれる。
「待って!」と叫んでも離してくれない。
そのままパーティー会場のあるホテルのフロントに行き、何やらチェックインをすると部屋のカードキーを受け取ってエレベーターに乗り込む。
「ちょっと皇輝!!どこに連れて行く気なの!?」
「ここの最上階」
「はあっ!?」
わけもわからず、エレベーターは最上階に着いたと思ったら、ドアの先にあったのは見るからにそう、ロイヤルスイートルームとでも言うべき広々とした豪勢な部屋だった。
皇輝は部屋に着くなり、真紅の大きなソファにドカッと腰掛け、ネクタイを緩める。
「――ったく、やっと一息つけるな」
今更だけど、皇輝の着ているスーツもネクタイも腕時計も革靴も、全てが一級品だということに気づく。
身に付けているものだけで、総額いくらするんだろう?
――いや、そうじゃなくて!
「何してんの皇輝!?
あんたは私の弟でしょっ!?」
あんな大勢の人前で何婚約者とか言っちゃってるわけ!?