婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
なんか皇輝って、意外とヤキモチ妬きだよね。
仕事のことになると何でも余裕にこなします!みたいな顔するくせに。
私はクスッと笑って皇輝の手を握った。
「誰かさんがそういう風に思わせてくれたからじゃない?おかげで私は今楽しくて幸せだよ」
こんな未来が待っているんだったら、婚約破棄してよかったかも、なんて思えてしまうくらいには。
「……妃乃、Bプロが落ち着いたらまたベリーズランド行くか」
「え?」
「今度こそ仕事抜きで、二人だけでデートしたい」
握った手を強く握り返されて、じっと見つめられる。
「うん、私も同じこと思ってた」
「今まで行った中で一番楽しかったって思わせてやるよ」
「何それ!皇輝ってほんと負けず嫌いだよね」
「うるせぇな」
こういう子どもっぽいところもかわいくて、愛しくて堪らない。
ああ、こんな時間が本当に幸せだな――。
「……コンペ結果出るまでは、浸ってる場合じゃないけど」
「何言ってんだよ。大丈夫に決まってるだろ」
「そう!?博誠堂の企画すごくよかったから不安しかないんだけど!」
「俺が大丈夫だって言ってんだから、大丈夫だよ」
皇輝はいつもの自信たっぷりな王様の笑みを浮かべた。
皇輝にそう言われると、何だか大丈夫な気がしてしまうから不思議だ。
「……そっか、なら大丈夫だね」
そう言って私も微笑み返した。