婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
それを3日前くらいに急に言われ、大慌てでスピーチを考えてチームメンバーにも見てもらったというわけ。
この創立パーティーには各企業のお偉いさんも多くいるし、もちろんお父さんも来ている。
スポンサーや芸能人も多く来ている中でのスピーチ、緊張しないわけがない。
「無理!!帰りたい!!」
「も〜妃乃さんってば〜。いつもみたいに堂々としててくださいよ!」
チームメンバーはいつの間にか妃乃さんと呼んでくれるメンバーも増えたくらい、仲が良くなっていた。
入社したての頃なんて、コネ入社と囁かれていたくらいなのに。
今ではみんな信頼できる仲間になっていた。
「…みんな、改めてありがとう」
突然お礼を言われて全員びっくりしたように私を見つめる。
「突然私みたいな知らない人が中途で入って、急にリーダーになって。
ぶっちゃけコネ入社だし、良く思われないだろうなって思ってた。
リーダーとして全然ダメで、みんなにはいっぱい迷惑かけたと思う。
でも、こんな私について来てくれてありがとうございます」
私は深々と頭を下げた。
「みんながいたからコンペを勝ち取れました。
まだまだ頼りないけど、これからも力を貸してください」
「……何言ってるんですか。妃乃さんがリーダーだから勝ち取れたんですよ」
「そうそう!まさかあの博誠堂に勝てるなんて思わなかったし!」
「こちらこそ、これからもよろしくお願いします。リーダー」
「みんな……っ、ありがとう……!!」