婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
スピーチ前なのに、もういい年なのに子どもみたく泣いてしまった。
私、この会社に入って本当によかった……!
このメンバーのリーダーを任せてもらえて、本当に幸せだよ――。
「だからスピーチも頑張ってくださいね!」
「うん…っ!」
涙を拭って大きく頷く。
まさか泣いてしまうとは思ってなかったから、トイレに行って化粧直してこないといけない。
化粧ポーチを持ってちょっと席を外そうとしたら、大慌てで相田さんが走って来た。
「リーダー!大変です!!」
「相田さん!?そのハイヒールで走ったら危ないよ?」
「それどころじゃないんです!!皆さん今すぐ裏に来ていただけますか!?」
相田さんの様子から只事じゃないのはすぐに察知した。
私たちはすぐに裏の控室に集まる。
「スピーチ中に流す動画データがない!?」
「そうなんです〜!!昨日ネットワーク障害があったせいで上手く上がってなかったみたいで……っ」
半泣きの相田さんを沢井さんがフォローする。
「今回は相田さんのせいじゃないです!私も一緒に上げたの確認したので、大丈夫だと思ってたのに……すみません」
「いや、これは誰のせいでもないから。元データのあるPCは?」
「会社です……」