婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


スピーチ前なのに、もういい年なのに子どもみたく泣いてしまった。

私、この会社に入って本当によかった……!
このメンバーのリーダーを任せてもらえて、本当に幸せだよ――。


「だからスピーチも頑張ってくださいね!」

「うん…っ!」


涙を拭って大きく頷く。

まさか泣いてしまうとは思ってなかったから、トイレに行って化粧直してこないといけない。
化粧ポーチを持ってちょっと席を外そうとしたら、大慌てで相田さんが走って来た。


「リーダー!大変です!!」

「相田さん!?そのハイヒールで走ったら危ないよ?」

「それどころじゃないんです!!皆さん今すぐ裏に来ていただけますか!?」


相田さんの様子から只事じゃないのはすぐに察知した。
私たちはすぐに裏の控室に集まる。


「スピーチ中に流す動画データがない!?」

「そうなんです〜!!昨日ネットワーク障害があったせいで上手く上がってなかったみたいで……っ」


半泣きの相田さんを沢井さんがフォローする。


「今回は相田さんのせいじゃないです!私も一緒に上げたの確認したので、大丈夫だと思ってたのに……すみません」

「いや、これは誰のせいでもないから。元データのあるPCは?」

「会社です……」


< 175 / 186 >

この作品をシェア

pagetop