婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
流石に会社に戻って取りに行く時間はないな……。
そこへ皇輝が控室に入ってきた。
「社長!」
「状況は聞いた。天王寺のスピーチは3番目だが、変更してもらって最後にしてもらった」
「えっ!!私が大トリってことですか!?」
「そうだ」
「逆に無理です!!だったら尚更動画がないと厳しい!!」
「だからどうにかするんだろ」
皇輝はニヤッと笑った。
この余裕たっぷりな王様スマイルにいつも救われる。
大丈夫だって、不思議と思わせてくれるんだ。
「今から秘書のルークに車出させるから、誰かPC取りに行って来い」
「えーっ!?ボク!?」
「他にいないだろ。車なら間に合う。誰か行けるか?」
「はいっ!私行きます!」
相田さんが挙手した。沢井さんも一緒に取りに行ってくれることになった。
「ルークさんすみません。よろしくお願いします」
「社長命令なので気にしないでくだサイ」
「沢井さんと相田さんもお願いね!」
「はいっ!」
その間に私は化粧直しをして、スピーチの準備を進める。
まさかこんな時までトラブルになるなんて思わなかったけど、どこか私たちらしいなと思うところもあった。
これまでも色んなトラブルと戦いながら、ここまで来たんだ。
今日も絶対大丈夫。