婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「えー、続いてはチェスター株式会社からですが、その前に社長である天王寺社長よりお話があるそうです。
では天王寺社長、よろしくお願いします」
突然のことに会場がざわつき始める。
もちろんメンバーたちも突然のことに驚いた様子で見守っていた。
皇輝は静かに壇上に上がり、中央に立って恭しくお辞儀をする。
「チェスターの代表取締役、天王寺です。
弊社からスピーチをさせていただきますのは、クリエイティブセンター所属の天王寺妃乃ですが、誤解される方もいらっしゃると思いますので、私から先にご説明させていただきます」
すると皇輝は私の方を見て、手招きした。
何をするのか全くわかっていない私は、戸惑いながらも壇上に上がった。
緊張しながら皇輝の隣に立ち、深々とお辞儀をする。
「苗字で何となくお気づきかと思いますが、彼女は私の妻です。
実はまだ正式に入籍できてはいませんが、既に私の妻として支えてくれています。
そして、彼女は私の義理の姉でもあります」
その言葉に会場中がどよめいた。
私も驚いて皇輝の顔を見た。
なんで今そのことを――!?
「プライベートな話でお恥ずかしいのですが、彼女とは父の再婚をきっかけに出会いました。
家族でありながら、私は姉である彼女に惹かれました。
何事にも真面目で一生懸命で、社長令嬢という肩書きに甘んじることなく、自らの実力で成果を出す彼女の力が欲しいと思い、無理を言って弊社に呼び込みました」