婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
それからお母さんは私と皇輝の手を握りしめて、微笑んだ。
「私たちに遠慮しないで、もう二人とも立派に自立してるんだから。
皇輝くん、妃乃のことよろしくね」
「お母さん……っ、ありがとう」
「ありがとう、母さん」
「よかった、本当によかった……」
涙を流しながら喜んでくれたお母さんに思いっきり抱きついた。
きっと私が思っている以上に、お母さんには心配かけたと思う。
「私、今すっごく幸せだよ……」
「妃乃が幸せで、お母さんも嬉しい……」
女手一つで私のことを育ててくれたお母さん。
いつも心配かけてばかりだったけど、やっと親孝行できた気がする――。
「……皇輝、わかってると思うが、妃乃ちゃんを泣かせるようなことをしたら絶対に許さんからな」
「するわけねぇだろ」
「妃乃ちゃん、この通り皇輝はまだまだだが、一緒に支えてやって欲しい」
「もちろんだよ!お父さんが私のお父さんで本当によかった!」
「妃乃ちゃん……っ!!」
ブワッと号泣し出すお父さん。つられて私もまた涙が出てきて、お母さんもお父さんの涙を拭いながら泣き笑いを浮かべていた。
皇輝はやれやれって顔してたけど、目が赤くなっていたのを私はちゃんと見逃さなかった。
私たち家族はきっとこの先も変わらない。
これからも家族として笑い合って支え合っていく。
たった一つ変わるのは、皇輝と姉弟ではなく夫婦として歩んでいくこと。
きっとこれからも大変なことが続くと思うけど、皇輝となら乗り越えていける。
明るい未来が描けるって信じてるよ――。